天才子役として知名度を上げ俳優として活躍する福田麻由子さんは、昨年末に芸能活動を一時休止すると公表しました。その後の生活について現在暮らすNZよりお話を伺いました。(全3回中の1回)
ニュージーランドを選んだ意外な理由
── 現在、ニュージーランドで生活をしているそうですね。
福田さん:3か月前からこちらに来ています。今、季節は春でとても過ごしやすいです。こちらにも桜の木があるんですが、ちょっと葉桜になってきたかな、というくらいです。
── 緑が広がっていて、鳥の声も聞こえてきて素敵です。建物もかわいいですね。
福田さん:そうなんです!いるだけで癒されますよね。今、ここのモーテルを何人かでシェアをして住んでいるのですが、朝はハウスキーピングをしたり雑草をとったり、モーテルの仕事をして過ごしています。屋根のペンキを塗ることもありますよ。午後は近くのレストランでウエイターとして働いています。
フルーツを収穫する仕事がしたいなと思っていたんですけど、先にモーテルの仕事が見つかって、近くのレストランでも働くことになって。これも巡り合わせですね。働く前に面談をしたのですが、英語があまり話せないので「大丈夫かな?」というような顔はされたものの雇ってもらえて。仕事でお客さんと話すのは英語ですし、仲間たちとの会話も英語です。語学学校には行っていなくて、仕事で話さなくちゃならないとなると必然的に使うようになるので、実践あるのみという感じです。
── ニュージーランドへ行く前は長野県の白馬村で住み込みで働いていたそうですが、なぜニュージーランドに行くことを決めたのですか。
福田さん:今29歳で、この前後の世代はワーキングホリデーに行く方が周りに多かったんです。ワーホリは年齢にも制限がありますし、コロナ禍が少し落ち着いてきたのもあって同世代の話題に上がる機会が多くありました。
白馬村ではオーストラリアから来たお客さんが多かったので興味を持つようになったのですが、オーストラリアに行ったことがある人から、「ニュージーランドの方が合ってるよ!」と言われて、それでお隣のニュージーランドに来ました(笑)。
── そのひと言で!
福田さん:単純ですよね。自然が多いところがいいなと思っていたのもありますが、本当にここに来てよかったです。毎日、ただただ楽しいです。でも英語は難しいです。何回か、「もう英語は喋りたくない」ということもありましたし、人が言っていることがわからなくて絶望していた時期もあります。
でもここは本当にいろいろな国の人がいるんです。今の職場も、クロアチア、オランダ、ネパール、中国、カナダ、南アフリカ、イギリス、アルゼンチン、フランス、地元生まれの子と、本当にさまざま。
ほとんどみんなワーホリで来ているんですけど、英語がネイティブではない子も、みんな私より話せるのですごいなと思います。ここでは「日本から来たので話せないんです」というのは通用しないですね。
でも、みんながみんなペラペラじゃなくて当たり前という前提で接していますし、イントネーションも発音もそれぞれ違うので、どのくらい英語が上手かというより、伝わることの方が大事になってきます。
── 文法や単語よりも、気持ちが大事とはよく言いますよね。
福田さん:本来、会話ってこうだよなと今は思うんです。日本語だと、言わなくていいことばかり話したり、後から言葉尻を拾ったりして、「あれってどういう意味だったんだろう」と考えることも多かったのですが、ここで話しているように、とにかく相手に伝えようと努力して、伝わることが会話だよなって。
うまく話せないからこそ、ちゃんと相手を見て伝えようとするので、むしろ今の方がコミュニケーションが取れていると思うんです。仲間も、お客さんも優しくて親切ですし、ここにいると自分がマイノリティじゃないなと思えます。みんなそれぞれに違うバックグラウンドがあって、みんな少しずつマイノリティなんです。
日本にいると「言わなくてもわかるでしょ」ということも多いですし、少し人と違うことをすると目立ってしまうこともありますよね。こちらでは同じにしようと思っても、もともとまったく違うのでそれができないんです。でも本来、人ってみんな違うものですよね。すべてが勉強になります。
もう、もっと早いうちから来たらよかったと思っています。二十歳を過ぎてから仕事以外は家に引きこもっていた期間があったので、その時の自分に言ってあげたいです。
でも、その時は仕事を中断して海外に行くなんてことは頭に浮かんでもこなかったですし、「自分はこの仕事をずっとやっていくんだ」、「そんなに長く休んだらお仕事なくなっちゃう」と思っていたので、海外生活なんて自分には関係のない話だと思っていました。でも、こんな少しの期間でも自分を変えることはできるんだと驚いています。