テレビ番組「王様のブランチ」のリポーターとして活躍し、現在はふたりの子どもを育てる鈴木あきえさん。かつてパーソナリティを務めたFM番組では、ひと晩で1300通以上のメッセージが来るという記録もつくったそう。ラジオのお仕事で学んだことなどを伺いました。(全4回中の3回)
いかに自分が台本を越えられるかが勝負だった
── 2009年にパーソナリティしていたFM NACK5のラジオ番組「チャイム!」では、リスナーからひと晩で1300通以上のメッセージが来るという、かつてない記録をつくったそうですね。
鈴木さん:「チャイム!」では1年間、週に一度パーソナリティを務めました。夜中の1時から朝6時までひとりで喋りっぱなしなんです。そんなに長時間だと自分を飾ることもできないので、ぶつかり稽古のように等身大で挑んでいました。
リスナーとは友達に接するような感覚を心がけていて、クレヨンしんちゃんやドラえもん、河相我聞さんなどのモノマネもたくさんしましたね(笑)。ラジオなのに、顔芸もしていました。モノマネをして、ややスベる。「似ていないよ!」というリスナーのリアクションまでがワンセットでした。言うなれば友達と飲み会の3次会で盛り上がっているノリです。そういう番組の雰囲気をリスナーが受け入れてくれたのだと思います。
ラジオをしていた当時は「王様のブランチ」の仕事もしていたので、朝の6時まで仕事をした後に、そのままロケに行っていました。寝る時間もないくらい、すごくハードな日々でした。若かったからできたんでしょうね(笑)。
── ラジオの仕事の楽しさは、テレビとは違いますか?
鈴木さん:まったく別物ですね。ラジオのよさは「リスナーとの距離の近さ」です。テレビ番組は、収録中はその場で観る人の反応を知ることができませんが、ラジオはリアルタイムでメッセージが届くので、すぐにリアクションがわかります。私もそれに応える形で番組を進行していくわけです。番組はリスナーといっしょにつくり上げていくものなんだと感じましたね。
ラジオのパーソナリティ時代に学んだことは多いですね。例えば、曲を紹介するときもただ曲名を言うだけではリスナーには届かない。曲にまつわる自分なりのエピソードを話したうえで曲を紹介するとリスナーがより耳を傾けてくれるとスタッフに言われました。
ラジオには台本はありますが、結局、台本通りではなく、自分で番組をつくっていくことが大切なんです。台本通りにタレントが進めるだけなら台本を作ったスタッフの勝ち、台本を超えたものをつくれればタレントの勝ち。その考え方はラジオだけでなくテレビでもそうで、スタッフの方から何度も言われました。いかに自分が台本を越えられるか。今もこれを頭に置きながら仕事に臨むようにしています。
子育て中の孤独を救ったラジオ
── ラジオは鈴木さん自身もよく聴かれますか?
鈴木さん:聴きます。出産前からもよく聴いていましたが、子育て中に孤独を感じてしまうときにラジオを聴くと、近くで誰かが話してくれているような感覚になり安心しました。
最近ハマっているのは、「ながら聴き」ができる音声メディア「Voicy」です。芸能人だけでなくさまざまな人の音声コンテンツを聞くことができます。なかでもよく聴くのは、子育ての専門家や子育て中のママなどの配信です。
そのときの自分の学びになる放送が見つかるし、同じ悩みを持っている人の話など聴いているとホッとした気持ちになれます。ひとくくりに「子育ての専門家」といっても、専門家によって意見はさまざまなんですよね。「そういう意見もあるのね、ああいう意見もあるのね」とさまざまな意見に耳を傾けることは深い学びにつながります。子どもの寝かしつけ、部屋で子どもと遊ぶときなど、片耳だけイヤフォンをつけて聴いていることもあります。
── 今後もラジオのお仕事は続けていきたいですか?
鈴木さん:ラジオは好きなのでぜひ続けたいですね。そのほかにも「王様のブランチ」時代から続けてきたリポーターの仕事も、現場をつくっていくのが楽しいのでこれからもキャリアを積み上げていきたいですね。彦摩呂さんや石塚英彦さんみたいなお茶の間を明るくするリポーターを目指していきたいです。
あとは親であり子育てをしているタレントということで、同じ境遇であるママの励みになり、ママの子育てに役立つグッズをいつかプロデュースしてみたいなあ…と思っています。
PROFILE 鈴木あきえさん
1987年、東京都生まれ。2004年にグラビアでデビューし、2006年〜2017年まで「王様のブランチ」でリポーターを務める。現在は育児情報番組「すくすく子育て」の司会を務めながら、4歳と2歳の子育て中。
取材・文/酒井明子 画像提供/鈴木あきえ