リポーターとして活躍し、現在はふたりの子どもを育てる鈴木あきえさん。テレビ進出の足がかりとなった「王様のブランチ」では、10年半もリポーターを務めました。番組を続けていくなかで、どのような学びや苦労があったのかをお話を聞きました。(全4回中の2回)
「王様のブランチ」は私にとって芸能界の塾
── 仕事で大きな転機となったのは、やはり「王様のブランチ」でしょうか?
鈴木さん:そうですね。テレビの仕事を頑張りたいと思い、そのときに受けたオーディションが「王様のブランチ」でした。テレビの仕事についてほとんど何も知らなかったので、ここで芸能界のいろはを学ばせていただきました。私にとってブランチはまさに「芸能界の塾」ですね。ここでの経験がなければ、芸能界での仕事は続けられなかったと思います。
「王様のブランチ」は食リポなどのグルメから、本、映画など幅広いジャンルを扱い、「買い物の達人」という大物ゲストを招いて買い物をするコーナーも担当しました。出演者としてだけでなく、スタッフとしてロケハンをしたり、お店の人とコミュニケーションを取ることも多かったです。
この経験は非常に大きく、どのような番組をやるときもスタッフサイドの考え方ができるようになるきっかけになりました。どうしたら番組のためになるか、どうしたらおもしろい番組になるかを出演者の目線以外からも考えられるようになりました。「王様のブランチ」で経験したことは、その後の仕事にすべて活かされていますね。
── ブランチは同期がいて、その中でも鈴木さんが一番長くブランチに在籍されていたと伺いました。
鈴木さん:そうですね。結局、ブランチには10年半も出演していました。同期が5人いましたが、その中でも私はダントツのポンコツで、初期のころは本当にスタッフによく怒られました。泣きながら現場に行って、泣きながら帰る…というような日々でしたが、それでも続けられたのは、努力は裏切らないと感じられたから。
例えば食リポ。最初のころ、自分のコメントが全然採用されなくて、画面にもまったく映らなかったんです。どうしたら自分のコメントが使われるのか必死になって研究しました。料理本を見て言葉を学んだり、同期と食事に行ってお互い練習したり…。徐々にコツが掴めてきて、自分のコメントが多く使われるようになって。頑張りが形に見えるので、どんどん仕事が楽しくなっていきました。
悔しくて涙した時は、同期にたくさん助けてもらいました。本当に感謝しています。
「自分の機嫌は自分でとる」は育児中の支えにも
──「買い物の達人」コーナーではたくさんの大物芸能人と共演されていましたね。
鈴木さん:このコーナーには一流の方、これから活躍が期待される方しか来ないので、素晴らしい人にたくさん出会えました。印象に残っている方はたくさんいますが、なかでも強く刺激を受けたのは小林幸子さん。
大先輩で芸歴も非常に長いのに、誰よりも気をつかわれていて…。カメラが回っていないところでも、私以上に現場を盛り上げていて驚きました。小林さんが言っていた「自分の機嫌は自分でとる」という言葉は今も私の心に残っていて、支えになっています。例えば子育てで余裕がないときも「大好きなスイーツを食べて自分を喜ばせよう」と思えるきっかけになり、そうすることで心に余裕が生まれています。
吉瀬美智子さんの「例えば子どもが夜泣きをしても、それを大変と思うか、そうじゃないと思うかは自分次第。どのような出来事でもプラスかマイナス、どちらに感じるかはその人次第だと思う」という言葉も印象的でした。物の見方が変わるきっかけになりました。
── 大物芸能人といえば、鈴木さんの結婚式では出川哲朗さんが神父役をされていましたね?
鈴木さん:そうなんです。私、結婚は出川さんに誓ったんです(笑)。
出川さんとは「大!天才てれびくん」で共演したのがきっかけで仲良くさせてもらっています。子どもたちも含めみんなで仲良くしていて、楽屋でも常にみんな一緒。子どもたちと出川さんのお家に伺ったこともあります。
私にとったら出川さんは「芸能界の父」ですね。私が結婚の報告をしたときもすぐにお祝いの連絡をくださり、まだ結婚式をやるかどうか決まっていない段階で、出川さんから「おめでとう。式、行きます」と(笑)。
ノリで神父役をお願いしたところ、快諾してくださって、前日に式場に下見にまで来てくれました。「カンペなんていらないから。俺は心でしゃべる!」とおっしゃって、誓いの言葉もすべてアドリブで、本当に面白かったです。参加者もみんな驚いていましたね。今でも仲良くさせてもらっている、本当に優しい方です。
PROFILE 鈴木あきえさん
1987年、東京都生まれ。2004年にグラビアでデビューし、2006年〜2017年まで「王様のブランチ」でリポーターを務める。現在は育児情報番組「すくすく子育て」の司会を務めながら、4歳と2歳の子育て中。
取材・文/酒井明子 画像提供/鈴木あきえ