2011年に結婚した加藤綾菜さん。3年後には夫、加藤茶さんがパーキンソン症候群を患い日常が一変。夫に寄り添うなかでバッシングに悩みながらも、介護の資格も取得して──。(全5回中の4回)

体重がみるみる落ちて…

── 2011年に結婚されて、3年後には旦那さんがパーキンソン症候群を患いました。ご自宅から病院に連れて行かれたとか。

 

綾菜さん:加トちゃんの呂律が回っていないし、手が震えて箸がつかめなかったんです。異変を感じて、すぐに病院に連れていったらパーキンソン症候群と言われました。約3か月入院しましたが、しばらく寝たままの日もあったし、体重もどんどん痩せて57キロあった体重が38キロまで落ちました。

 

── 綾菜さんは、看病をしながらどんなことを思いましたか?

 

綾菜さん:私がいけなかったのかなと落ち込むこともありました。あと、自分が大変というより、加トちゃんがこんなに早く仕事ができなくなって、加トちゃんの生きがいがなくなったらどうしようって考えることも多かったですね。

 

入院中は、加トちゃんの体の震えがひどくてうまく歩けないときもあったし、加トちゃんから「俺が死んだらすぐに再婚して子どもを作りなさい」って言われたこともありました。何を言ってるんだ?と思ってましたけど。

 

加トちゃんと一緒にいるときは、部屋で一緒にドリフを観たり、大丈夫、大丈夫ってプラスな言葉しか発しなかったです。

 

加藤綾菜

── リハビリはかなり頑張ったそうですね。

 

綾菜さん:周りはちょっと諦めていたんです。もうダメだって、諦めムードもあったんですけど、私は絶対諦めませんでした。加トちゃんは自分で治す力がある。大丈夫、大丈夫!って毎日励まし続けていたら、加トちゃんも徐々に「また舞台に立ちたい」って思っていったようで、歩く練習も頑張って、積極的にリハビリしてました。

 

── 体も徐々も復活されていって。

 

綾菜さん:こんなに早くよくなって!っていうくらい1年後にはかなりよくなっていたと思います。また、体が元気になったことで、加トちゃんの自信にもつながったようです。今までもこれからも、仕事でたくさんの人に笑ってもらいたい。それが自分の使命だし、70代、80代で病気を患う人もたくさんいるけど、自分が病気から元気になった姿を見てほしい。こんなに元気なお年寄りもいるんだ!って思ってほしいって。それが加トちゃんも嬉しいようです。すっかりよくなって、人って生命力があるんだなって思いましたね。

いきなり家族の介護は戸惑うので

加藤綾菜

── ただ、懸命に病気と向き合っている最中、入院中にバッシングもあったそうですね。

 

綾菜さん:加トちゃんの体調がよくなると、病院の周りなら一緒に散歩してきてもいいよって許可が出たんです。ちょうどお昼ご飯を食べようと思って、加トちゃんは病院の食事が出るからおまかせですが、私の食事がないじゃないですか。だから加トちゃんと散歩がてら外に出たんです。病院の近くにファーストフードがあったので、テイクアウトで商品を買って、店から病院に戻る途中に週刊誌の方に写真を撮られたようです。「入院中の夫にそんな油っこいものを食べさせるのか!」とまた叩かれましたが、もう気にしない以外なかったですね。

 

── 旦那さんが退院後は、綾菜さんは介護の勉強もされたそうですね。

 

綾菜さん:介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修を修了しました。介護は以前から興味がありましたが、コロナ禍で身近な人がいなくなったり、加トちゃんが大きな病気を何度かしているので、もっと介護の知識も必要だし、何かあったときに加トちゃんをサポートしたいと思いました。

 

研修直後にデイサービスで働き始めたタイミングで、コロナの緊急事態宣言になったので中断しましたが、その後もボランティアとしてお宅を訪問したり、お手伝いをしています。

 

── 今すぐ旦那さんにというより、将来を見越してという感じでしょうか。

 

綾菜さん:加トちゃんにはまだ介護の必要がないので、学んだことを忘れないようにしています。また、いきなり家族に介護すると戸惑いそうですし、先にいろいろな方のお手伝いをさせてもらいながら、いざ役割を担うことになったときに向けて準備もしています。

 

PROFILE 加藤綾菜さん

1988年生まれ。広島県出身。2011年加藤茶と結婚し、45歳差の夫婦としても話題。

 

取材・文/松永怜