2011年に加藤茶さんと結婚した加藤綾菜さん。同棲してしばらくすると、結婚話はタブーな空気があったと言いますが、入籍はある日突然だったと語ります。(全5回中の2回)
守られたいより、守ってあげたい
── 旦那さんとおつき合いされている頃から、2人で街中も歩かれていたそうですね。周りの人から驚かれることはなかったですか?
綾菜さん:加トちゃん、外でもかなり堂々としてるんです。街中に行くのも全然変装しないし、堂々としすぎて私は娘だと思われていたかもしれないですね。雑誌のインタビューでも「彼女います」って普通に答えてました。同棲する前は、週に3、4回くらい会っていたし、加トちゃんの舞台が入って忙しいときはお弁当を渡しに行くこともありました。
── お手紙を書くこともあったそうですね。
綾菜さん:当時、私が和食屋さんでアルバイトをしていたので、バイトが終わった後に厨房を借りてお弁当を作らせてもらうことがありました。お弁当と一緒に手紙も入れていましたね。
── おつき合いが始まって1年後には同棲されたとのこと。同棲の先に結婚も考えていましたか。
綾菜さん:いや、はじめはお互いそこまで考えてなかったような気がします。私も20代前半で若かったのもあるし、このまま楽しくやっていけたら、と思ってたんです。
でも、一緒に住み始めると少しずつ気持ちが変わってきたのかな。加トちゃんは、一緒に住むまで毎日焼き肉とかラーメン、自分の好きなものばかり食べてかなり不摂生だったし、このままだといつか病気で体を壊しそう。それなら私がこの先も加トちゃんのために料理を作って、加トちゃんに尽くしたい。あと、外で仕事を頑張ってるから、家に帰ってきたときは安心できる場所をつくってあげたいと思ってきたんです。
次第に、この人が老いてヨボヨボになっても愛していける。老いていく姿を見るのも愛おしいだろうなって思うようになって、加トちゃんと結婚したいなって思いました。
── あらためてどんなところに惹かれましたか?
綾菜さん:とにかく穏やかで誠実ですね。一緒にいて居心地もいいですし、とにかく私が加トちゃんを守ってあげたい。加トちゃんにはそんな最強母性本能を感じました。
入籍は事後報告だった
── 2011年に入籍されました。出会いから3年後に籍を入れたそうですが、入籍は突然決まったそうですね。
綾菜さん:同棲してしばらくすると、なんとなく2人の間で結婚の話は触れちゃいけないような空気がありました。でも好きな気持ちはどんどん高まっていくんです。
天気が良かったある日、加トちゃんと話をしていた流れで、ふと「加トちゃんみたいな人と一生いたいなぁ」って言ってみたんです。加トちゃんは一瞬固まったように見えましたが、「綾ちゃんの幸せのためにも、結婚はしないほうがいいと思う。自分も歳だし、綾ちゃんの人生を壊すのは申し訳ない。ずっと一緒にいるだけでいいじゃない」と言いました。でも、私もそれなりの覚悟でいたし、気づいたら「私が加トちゃんを守るけん!絶対幸せにするし、結婚しよう!」って口に出していたんです。加トちゃんが少し考えて、「うん、結婚しよう…」って、みんなに伝えても反対されるだろうから、誰にも言わずに結婚しよう!と言って、そこから2、3時間後には区役所に行って籍を入れていました。
── 綾菜さんのご家族にはどのタイミングで伝えましたか?
綾菜さん:入籍後に電話しました。両親は、私が加トちゃんとつき合ってることは知っていたし応援もしてくれていました。電話で「さっき加トちゃんと入籍したけん」と言ったら、「綾は、自分でちゃんと考えてやる子やけん。大丈夫よ。加トちゃんと生きる人生はすごく幸せだと思う」とすごく祝福してくれました。弟は東京に住んでいたので、おつき合いしていた頃から加トちゃんにご飯に連れて行ってもらったり、加トちゃんにすごく懐いていて、それはもう喜んでくれました。
一緒にいる時間が短くても
── 結婚された当時、加藤さんが68歳、綾菜さんが23歳でした。年齢差が45歳ありますが、この先の介護や病気について考えることはありましたか?
綾菜さん:そんなに考えていなかったし、1ミリも気にならなかったです。若くても病気を患ったり事故にあう可能性もあるし、年齢が近い人と結婚しても離婚する人はたくさんいる。なるときはなるだろうって思ったんです。それなら一緒にいる時間が短くても、加トちゃんと結婚したほうがきっと幸せだろうって。あと、誰よりも覚悟はあったんだと思います。いいときも悪いときもこの人を守っていく覚悟もあったし。
23歳、若さと勢いで結婚した部分もあったかもしれません。でも、あのとき結婚して12年経ちますが、今もまったく間違ってなかったと思います。
PROFILE 加藤綾菜さん
1988年生まれ。広島県出身。2011年加藤茶と結婚し、45歳差の夫婦としても話題。
取材・文/松永怜