2011年に結婚した加藤茶さんと加藤綾菜さん。つき合うまでの「面接」や、つき合った後に住んでいる世界の違いも感じたと言います。(全5回中の1回)

コースターの裏に書かれた言葉

── 綾菜さんと旦那さんの出会いは、綾菜さんが大学生の頃、綾菜さんのアルバイト先のお寿司屋さんに、旦那さんがお客さんで来店されたことだったと。第一印象はいかがでしたか?

 

綾菜さん:めちゃくちゃオーラがあるな!って思いました。加トちゃんは薄い上品なピンクのスーツを着ていて、お店に入ってきた瞬間からすごくキラキラしたものを感じました。あと、すごく歯が白くて清潔感があった。後から聞いたら、1本だけ事故で折れたけど、ほかは全部自分の歯って言ってました。私がお茶を出したときもとびきりの笑顔で「ありがとう」って言ってくれて、テレビで観ていたときはそこまで思わなかったんですけど、実際会ったらこんな素敵なおじさんなんだ…!って衝撃でした。たぶん、ひと目惚れに近い感じはあったと思います。

 

── かなり好印象だったと。一方、当時の綾菜さんは、見た目は少しギャルっぽかったそうですね。

 

綾菜さん:化粧が濃くて、髪の毛も茶髪に染めて、見た目ギャルでした。ただ、見た目はギャルでも広島から上京していたので、田舎っぽさがあったと思います。加トちゃんはそんな私にもすごく誠実に接してくれました。加トちゃんの事務所も近かったこともあり、お店にもよく来てくれて、ちょっとずつ喋るようになりました。

 

── 連絡先を交換したのはどのタイミングだったのでしょうか。

 

綾菜さん:初めてお店で出会ってから半年くらい経った頃ですね。お会計のときに、コースターの裏に電話番号が書かれたものを渡されて、びっくりしました!その後、アルバイトが終わって夜12時くらいにドキドキしながら電話してみたんです。

 

── お話はいかがでしたか?

 

綾菜さん:緊張して電話するまでちょっと時間がかかりましたが、電話したらとても波長があいました。たまにいるじゃないですか。話すリズムが合わない人とか。でも、加トちゃんとは話すテンポもあったし、すごく心地良かったです。

 

電話で1時間くらい盛り上がると、「これから住所を送るから、朝5時にそこで会えないか」と言われました。始発がないならタクシー出すからって。

銀座のVIPルームで見た光景

加藤綾菜
旦那さんに作ったオムレツ

── 朝5時集合とは、かなり早めの時間でしょうか。

 

綾菜さん:今考えたらそうなんですけど、当時の私は、ある程度年齢を重ねている人は朝早いんだ、と思うくらいでした。それより嬉しい気持ちが上回っていたのかもしれません。

 

そのとき自分が持っていた一番お気に入りのワンピースを着て、髪を整え、朝からバッチリメイクをして、指定されたファミレスに着きました。お店に入って加トちゃんに手招きされて席に行くと、なぜか小野やすしさんと、左とん平さんも一緒で、しかもちょっと酔ってるんです。

 

え?どんな状況…?って。後から聞くと、深夜0時くらいから銀座に飲みに行って、朝5時くらいまで麻雀をして、最後はファミレスで朝ご飯を食べて帰るのがルーティンだったようです。他の時間は仕事もあるし、私ともそこで会おうってことだったらしいです。

 

── 旦那さんと2人ではなく、4人でご対面になったのですね。

 

綾菜さん:座り方は加トちゃんたち3人に向かう形で私が対面で1人。小野さん、とん平さんとは初対面でしたがいろいろ聞かれました。なんで広島から上京したとか、家族構成や将来の夢など次から次へ面接のように聞かれて、私も何のために呼び出されたんだろうと思ったり…。

 

2人は、加トちゃんの前に突然現れた「謎の女子大生」がどんな人なのかチェックしていたみたいです。

 

朝5時の集合から加トちゃんとつき合うまで半年くらいかかりましたが、会うのはいつも4人でした。麻雀に行くのもご飯に行くのも常に4人セット。はたから見たら、60代っぽい男性3人と20代女性1人のグループで不思議な光景に見えたかもしれないです。

 

── 何で、いつも4人なんだろうって思うことはありましたか?

 

綾菜さん:はじめはありました。でも、まだ加トちゃんに「なんで4人なの?」って言える間柄じゃなかったし、加トちゃんが「大好きな親友だから綾のこともわかってほしいし、みんなとも仲良くなってほしい」って言っていたので、加トちゃんが望むならいいかなって思ったんです。次第に、1人休みで3人の日があると物たりなくなるくらい(笑)、馴染んでいきました。

 

── おつき合いをされる前に、旦那さんから銀座のクラブに呼ばれたこともあったそうですね。

 

綾菜さん:加トちゃんに呼ばれてクラブに行ってみると、VIPルームのソファにどっしりと腰をかけて、ホステスさんに囲まれている加トちゃんがいました。え…?って、ここでもかなり衝撃的な光景を目にしましたが、加トちゃんが言ってくれたんです。「今、一番好きな子だから」って。夜のお店でこうやって遊んでるんだろうなって思いながらも、わざわざ私を紹介してくれたのは嬉しかったです。

45歳差、お婆ちゃんと同じ歳

加藤綾菜

── 4人で遊び始めてから半年後くらいに、旦那さんとのおつき合いが始まったそうですね。

 

綾菜さん:たまたま加トちゃんの誕生日が近いことを知って、私が加トちゃんの誕生日だから2人で会いたいと言いました。誕生日はプレゼントを渡したかったのですが、バイト代も少ないし給料日まで日があったので、ケーキだけ準備したんです。「プレゼントは今度会うときにお渡しします」と言うと、「プレゼントはいらないから、おつき合いしてくれませんか」って。そこからですね。

 

── おつき合いされたとき、旦那さんが60代、綾菜さんが20代で年齢差が45歳あります。綾菜さんのお婆さんと旦那さんが同じ歳だそうですが、あらためて年齢差は気になりましたか?

 

綾菜さん:いや、まったく。びっくりするほどなかったです。祖母と同じ歳ですが、加トちゃんが異常に若すぎて、おばあちゃんと同じ歳っていうのが信じられないくらいでしたね。

 

私も特別年上の人が好きなわけではなく、同級生の方とおつき合いしたこともありましたが、その方もやっぱり落ち着いてる方だったと思います。

 

── 旦那さんは芸能界でも大御所の方だと思いますが、自分とは世界が違うなと感じることはありましたか?

 

綾菜さん:はじめはメチャメチャ感じました。加トちゃん、どこに行くにもいつも運転手さんや付き人がいたし、ご飯を食べに行く場所も違えば、加トちゃんの周りにいる人が普段私が関わるような人ではなかったです。

 

よく覚えているのは、結婚する前に加トちゃんから「僕の50周年パーティをやるから来ない?」って、家族全員招待してくれたことがあったんです。家族には加トちゃんとおつき合いしていることは話をしていて、広島から来てくれて。当日、何を着て行ったらいいのかわからず振袖を着て行きましたが、会場にはテレビで観たことのある芸能人や著名人、たぶん1000人くらいの出席者がいて圧倒されました…。

 

── 当時はまだ結婚前だったと思いますが、周りの人は綾菜さんをどう見ていたと思いますか?

 

綾菜さん:親族席に座っていたので、多分親戚の子だと思われてたんじゃないですかね。さすがに芸能人の方と喋る勇気もなくて隅っこの方で大人しく座っていたら、舞台から加トちゃんが降りてきて、私の両親に挨拶してくれたんです。「よく来てくださいました。ありがとうございます」って。普段はよく会っていたけど、パーティに行くとこれくらい活躍している人なんだなってあらためて思いましたね。

 

加トちゃんの仕事現場に行くと、やっぱり凄い人なんだなって今も思います。でも、おつき合いしていたときも、結婚した今も2人で一緒にいるときはそれを感じさせないくらい普通なんです。45歳という年齢差もありますが、それがまったく気にならない運命の出会いをしたと今でも思っています。

 

PROFILE 加藤綾菜さん

1988年生まれ。広島県出身。2011年加藤茶と結婚し、45歳差の夫婦としても話題。

 

取材・文/松永怜