電子書籍『アラフォー女子が10年ぶりに恋をした―決定版―』など、エッセイ漫画家として活躍するかとひとさん。先日、彼女が約17年連れ添った愛猫が亡くなり、思い出を『私のお姫さま』と題した漫画にしてツイッターに投稿したところ、3万いいね!の大きな反響がありました。

臆病なお姫さまは 次第に心を開いてくれるように

かとひとさんと愛猫の出会いは今から約17年前。あくびちゃんと名づけられた生後3か月の三毛猫は、その後みんなから「あーちゃん」の愛称で親しまれてきました。

そんなあーちゃんはとっても臆病で人見知り。出会ったころは本棚の裏に隠れたり、出くわすなり逃げ出したり。びびりな性格を存分に発揮していたそうです。

 

しかし、一緒に過ごすにつれ、あーちゃんは少しずつなついていきました。一緒に寝てくれるようになったり、かとひとさんが熱を出した日には寄り添うかのように部屋の外で待っていてくれたり。実家を出たかとひとさんのひとり暮らしにもついていくことになります。

 

新居でもあーちゃんとの楽しい思い出はどんどんと増えていきます。同じ屋根の下、まるで親友のようにときを過ごし、10年ぶりにできた彼と結婚したことであーちゃんはかとひとさんと彼と3人暮らしとなりました。

別れの瞬間は、静かに近づいて

出会ったころは幼かったあーちゃんはいつしかおばあちゃんになりました。お薬を飲むようになり、食欲も減り…。そんな目に見えてわかるようになってきた変化は、別れの瞬間が近くなっているのをかとひとさんたちに知らせているようでした。どれだけ老いても一緒にいたい。同じときを過ごしたい。たとえそう願っても、猫と人では人生をまっとうできる期間は大きく違います。

 

それはかとひとさんが買い物に出かけたときのことでした。出かけるなりすぐにかかってきた電話。嫌な予感は的中。あーちゃんは急なけいれんを起こしたようで、急いで自宅へ向かいます。

 

かとひとさんを待っていたかのように腕の中で息をひきとったあーちゃん。支えてくれてありがとう。支えさせてくれてありがとう。たくさんの幸せをありがとう。

「あなたは永遠に私のお姫さま」

かとひとさんはこの漫画を描いたきっかけを「描くつもりでいたわけではありませんでしたが、とっても可愛いお姫さまに救われた毎日があって、それを少しだけ描きとめておきたかった」と話します。

 

この漫画を多くの方が読まれたことに対し、「とてもたくさんのいいねやリツイート、コメントをいただけて本当に驚きました。みなさまとてもやさしいコメントばかりで、乗り越えてきた悲しみや感じている喜びを共有していただいて、私自身が救われる気持ちでした」と話し、感謝の言葉を述べていました。

 

愛しい存在への愛に溢れた思い出の漫画、自分のなかにあったあたたかな気持ちを思い出しながら読んでみてはいかがでしょうか。

 

 

PROFILE かとひとさん

エッセイ漫画家。電子書籍『アラフォー女子が10年ぶりに恋をした-決定版-』が発売中。カープと猫ちゃんとお酒が好きです。

 

取材・文/可児純奈