自然体な魅力が人気を集め、多方面で活躍しているモデルのSHIHOさん。家族で移住したハワイ生活で「生きるうえで大切なことを教わった」と振り返ります。（全3回中の1回）
40歳で改めて考えた将来
── ハワイで約3年暮らして帰国されましたが、移住のきっかけはなんでしたか。
SHIHOさん：40歳になったときに、このまま過ごしていたらきっと10年先も何も変わらないだろうなという予感がしたんです。それよりも、今は10年後の自分のためにいろんなことを経験したい。新しい土地で、出会いや学び、勉強など吸収する日々にしたいと思ったのがひとつです。
また、娘が小学校に入るタイミングで教育について家族で考えました。それまでは日本の幼稚園に通いながら韓国語も学んでいたのですが、小学校からは彼女の将来を考え、英語教育を始めたいと思っていました。
日本、韓国、ハワイとそれぞれのインターナショナルスクールの見学に行き、ご縁があってハワイの学校に入ることができました。
ちょうどその時期に、家族で韓国のハワイ親善大使をしていたこともありましたし、夫もUFCというアメリカの格闘団体と契約していたことも移住をあと押ししました。そんなこともあり、ビザの取得もスムーズに進んで。流れがすごく良く、ハワイでの生活が決まりました。
── ハワイといえば大自然のイメージがありますが、どのような生活を送っていましたか。
SHIHOさん：娘を朝、学校へ送ったあとは海沿いや公園へ犬と散歩に行くのが日課でした。プールに行ったり、サーフィンをしたり、週末には山登りも。目の前に真っ青な海があって、空には虹がかかって。すぐそこに自然が広がっている環境でした。子どもが小さい頃には自然に触れることが大切だと思っていたので、ハワイで子育てができてよかったです。正直、日本に帰ってきてから携帯を触る頻度は増えたように思います。
── 娘さんは今でもハワイが大好きだそうですね。
SHIHOさん：娘がよく言うのは、アメリカ人はみんな、オープンマインドな人が多いよねって。道端やスーパーで会う知らない人とも気軽に話をして、「Have a good day!」と言い合う。お互いに声を掛け合って、あたたかいコミュニケーションが常にあるのはいいところです。子ども大人も関係なく対等に接してくれますしね。
ハワイには、“アロハスピリット”というものがあり、ハワイ語でALOHAの1文字ごとの意味である、思いやり・協調・喜び・謙虚・忍耐という「心の在り方」を大切にする精神があるんです。だからみんな本当に親切です。車を運転していても譲ってくれますし、重たい荷物を持っていると誰かが手伝ってくれます。
日本ではひとりで電車に乗って学校に通う小学生もいますが、ハワイでは法律で12歳以下の子どもをひとりにしてはいけないと定められているので、学校の送迎は車、公園にも必ず親がついていきます。でも自然も、人とのコミュニケーションも、子どもを育てるには素晴らしい環境だと思います。
移住で気づいた「休息」の大切さ
── お仕事で日本とハワイを行き来する生活をされていたと伺いました。
SHIHOさん：月に1回東京に数日滞在し、ハワイと行き来していたんですが、私にはそれがすごくよくて。東京での仕事がオンで、ハワイはオフ。日本ではスケジュールをギュッと詰めて働く時間でした。ハワイだけの生活だと時間を持て余してしまうし、目標を見出してそこに向かっていくという気持ちになりにくいんです。
ずっと働き続けていて、いつも何かしら活動したり、目標に向かって突き進んだりするアクティブな性格なので、東京ではしっかり働いてハワイではゆっくり休むという生活リズムはすごくよかったですね。
── ハワイはオフの時間だったんですね。
SHIHOさん：ハワイは家族の時間であると同時に、自分のメンテナンスをする時間でした。心を休めたり体を鍛えたり。20代の頃は仕事一色で仕事がすべての生活を送っていました。40代になって感じるのは、仕事だけではなく自分を休ませる時間も大事だということです。生活の大切さをハワイで学んだように思います。
コロナ禍もあって、止まる、休むことで生活スタイルを改めて見直すきっかけになりました。生活時間を充実させることが、仕事でよりよいパフォーマンスをすることにも繋がります。あとは生活を楽しむことですね。仕事をして、疲れるから休むのではなく、家族や友人たち、自分の時間をいかに楽しむかを教えてもらった気がします。
── オンオフがしっかりある生活、理想的です…！
SHIHOさん：ハワイにいるとリラックスしてしまって、仕事をしたくなくなっちゃうんですよね（笑）。太陽と広い海。日が登ったら起きて日が暮れたら寝る。みなさん朝も早いんですよ。自然のリズムのなかで生きていたら、「これで十分、他に何もいらない」という気持ちになります。
毎日トレーニングウェアのような格好をしていました。チューブトップとレギンス、ビーサンだけ。必要なものが少ないので、ミニマムな生活になります。メイクをしていると違和感があったので、ノーメイクで過ごしますし、すごく自然に近くなるといいますか、シンプルな暮らしになりました。
でも、忙しい都会で仕事をしていると、休息の大切さってわかりにくいと思うんです。ハワイでは人間にとってシンプルに大切なものを気づかせてもらいました。
PROFILE SHIHOさん
モデルとしてファッション雑誌・テレビ・ラジオ・CM・プロデュース・出版など幅広く活躍し、心身が健康で美しくなるウェルビーイングな暮らしを提案。ヨガDVD本 『SHIHO loves YOGA〜おうちヨガ〜』、『トリニティスリム"全身やせ "ストレッチ』は、シリーズ累計40万部を突破。比叡山延暦寺など各地で瞑想リトリートツアー等のイベントを企画・開催。滋賀国際親善大使。全米ヨガアライアンス認定講師。Wellness AWARD of the Year 2019受賞。
取材・文／内橋明日香 写真提供／SHIHO
