キャッシュレス決済で買い物はますます便利になるいっぽうで、お金の管理が難しくなる面も。“見えないお金”をいかに「見える化」するか。家計再生コンサルタントの横山光昭さんが解決策を明かします。
「キャッシュレス貧乏」な人が増えている
クレジットカード、電子マネー、スマホ決済など、キャッシュレスの支払い手段が多様化しています。現金より使いやすく、ポイントもつくからと重宝する人は多いでしょう。でも、キャッシュレスの利用は便利やお得なだけと限りません。逆に「キャッシュレス貧乏」に陥る危険性も認識しておいてください。
たとえば、電子マネーのSuicaは皆さんご存じでしょう。かつてSuicaは交通のみに利用されていましたが、いまは交通以外のコンビニ、スーパー、ドラックストアなどさまざまな場所で利用できます。そうなると、何にいくら使ったのかを把握するのは容易ではありません。結果、使途不明金が生み出されます。
使途不明金が積み重なると、家計は赤字体質に。お金はいっこうに貯まらず、キャシュレス貧乏につながるのです。
解決策は大きく2つ。ひとつはキャッシュレスの使い分けです。交通に利用するのはSuica、コンビニはこのスマホ決済、スーパーはこのクレカ…という感じで、「ルール化」します。用途に応じてキャッシュレスを使いわければ、どこで使ったかは一目瞭然。「今月はコンビニ利用が多い」など、使ったお金の傾向もつかめます。
また、何に使ったか、振り返ったときに浮かびやすいですよね。キャッシュレスによっては利用履歴をたどることもできるため、使途不明金は確実に減るでしょう。このように家計管理しやすく、改善もしやすくなるのです。
「小さい財布」にすれば支出を把握しやすい訳
もうひとつは財布の小型化です。大きな財布にはカード類が多数入ります。クレジットカードなどを何枚も利用することになり、それによって支出を見えにくくするため、解決策としては、「財布の小型化」を提案しています。財布を小さくすればカード枚数は絞られ、結果的に支出の把握もしやすくなります。
そもそもキャッシュレス時代の財布は小さなもので十分です。必要に応じてカードをスマホに収められたり、ポイントカードもアプリ化されていたりしますからね。私の財布も小さく、カードは2枚のみ。うち1枚の「Visaプリぺイドカード」を多用しています(もう1枚はデビットカード)。
同カードは使う分だけ事前にチャージするプリペイド型のカードなので、気づかないうちに支出が増えていく心配がありません。また、 チャージや買い物すると即座に通知が届き、利用履歴などはアプリ内で確認できるので、使途不明にもなりません。横山家では、家計簿アプリと連動させて使っています。キャッシュレスの使い分けと財布の小型化を実践し、「貯まらない」から脱却しましょう。
監修/横山光昭 取材・構成/百瀬康司 イラスト/村林タカノブ