子どもが小さいころは親とずっと一緒でも、大きくなるにつれ過ごす時間は減っていくもの。その成長が寂しいような、嬉しいような…。思春期になった娘との距離感に振り回される母を描いた漫画が注目されています。

 

「友達と遊ぶからやめとく」母の誘いを断る娘だけど…

作者は、子ども2人を育てるぺぷりさん(@pepuritan)。11歳になった娘は思春期で、ぺぷりさんが「土曜日にイオンに行かない?お祭りイベントやってるって~」と誘っても、「あー…友達と遊ぶからやめとく」とつれない返事が返ってきます。

 

この様子に、ぺぷりさんは「昔はなんでも家族優先だったものだけど…」としんみりムードに。それでも「もう小学校の高学年やもんな!わが子はいつまでも小さな子どものままと錯覚しちゃうんだよね。私もそろそろ子離れせな」と、寂しいながらも必死に自分を納得させようとします。

 

そんな葛藤を抱えたある夜のこと。普段はつれない娘ですが、寝る前の日課であるぺぷりさんとのおしゃべりタイムは大好き!その夜も友達の恋バナで盛り上がりだいぶ時間が経ったため、ぺぷりさんが「楽しいけどもうこんな時間やからそろそろ寝ようよ」と娘に言うと…。

 

「それは無理やわ」と力強い返事が…!その理由は「ママのことが好きすぎてずっとおしゃべりしていたいから…」!?

 

寂しさを感じていたぺぷりさんは喜びのあまり「じゃああと10分だけなぁ?」とデレデレ。娘は「計画通り」とほくそ笑み、もちろん10分だけでは終わらずに夜は更けていったのでした…。

 

「子どもの作戦にのせられてるな」と思いつつも、「好き」なんて言われたら甘くなってしまうのが親というもの…。その気持ちに共感した多くの人から「私もチョロ母です」といったコメントやいいねが集まりました。

「成長を一歩引いたところから見守っていきたい」

ぺぷりさんにこの作品についてお話を伺いました。

 

「“友達と遊ぶからやめとく”と言われたときは、心がギュッと縮こまりました。これまでずっと家族優先だった娘でしたが、どんどん彼女の世界が広がって家族以外の大切なものも増えたのだと思うと、成長を喜ぶ半面寂しく感じてしまいました。

 

“そろそろ子離れしないと…”と思っていた矢先の“好きすぎておしゃべりしたいから”には、必死におさえたものの喜びが抑えきれずに、かなりおかしな顔をしていたと思います。“ママも娘が大好きだよ”の気持ちがあふれてしまいました」

 

これまで娘は、ぺぷりさんが言ったことを基本的に肯定していたそうですが、最近ではしっかり自分の意思を持って「でもそれっておかしいよね」と反論することもあり、成長を感じているのだそうです。

 

「そっけなくなったり反抗したりと、これから娘との関係に悩むことも出てくると思いますが“そういう時期なんだ”とある程度スルーしつつ、遠くから見守れたらと思っています。ついついモヤモヤしてやかましく言ってしまいそうになることも多いと思いますが、それでは余計に嫌われてしまいそうなので…一歩引いたところから広い心で見ていけたらいいなと思っています」

 

子どもが大きくなると、親と子の距離感は少しずつ変わっていきます。親としては寂しい部分もありますが、お互いが無理をせず心地よい距離を一緒に探っていけたらいいですよね。

 

PROFILE ぺぷりさん

子どもたちとの日常漫画をSNSやブログにて発信中。インスタグラム・twitter(@pepuritan)。『アルトゥルと行く!不思議の国・ジャパン』(KADOKAWA)などの作画を担当。

 

取材・文/阿部祐子 画像提供/ぺぷり