仕事の帰りが夜9時をすぎて、そこから子どもの宿題を見ることもあると語る北陽・虻川美穂子さん。子育てはもちろん大事。でも仕事も大好きだから葛藤もあるといいます。(全5回中の4回) 

自分のタイミングでトイレに行けるんだ!

── お子さんが生後半年くらいに、仕事復帰されたそうですね。

 

虻川さん:出産前から早く仕事復帰したかったので、1年待たずに復職しました。

 

うちは共働きなので、どちらも子どもが見られないときは、知り合いにお願いしてお世話をしてもらうことにしたんです。

 

実家の母に頼むことも考えましたが、私が40歳で出産したこともあって、すでに親が高齢だったんです。実家と私たちの家も遠くて。子どもが3歳なると保育園に通い始めて、延長保育を利用したり、何かあればここでも知り合いの方にみてもらっていました。

 

── 仕事復帰されて、どんなことを思いましたか?

 

虻川さん:久しぶりに自分だけの時間ができたな!って思いました。仕事に行っている間は、家事もしなくていいし、子どももそばにいません。子どもが動けるようになると目が離せないんですが、自分のタイミングでトイレに行けるし、トイレに誰もついてこない。そう、誰もついてこないんだ!って思いました(笑)。

 

しばらくは子どもとベッタリの生活だったし、自分のことなんてあと回しじゃないですか。スタジオでVTRを見るときも、子どもを抱っこしないでこんなにゆっくりVTRを見られるんだとか、番組の中で試食するときも、こんなに味わっていいんだとか(笑)。仕事ではあるんですけど、誰にも邪魔されない解放感はありましたね。

 

── 一方で、仕事と子育ての両立が難しいと思うこともありましたか?

 

虻川さん:子育てに没頭したいけど、仕事も熱中したい私って、自分のことしか考えてないんじゃないかって思うこともありました。たとえば子どもが熱を出しても、子どもの看病をしながら翌日の仕事の段取りが気になっていたり、そんな自分に気づいて子どもに申し訳なく思ったり。そもそも普段から仕事や家事に追われているので、子どもの話をちゃんと聞いてあげられてないんじゃないかって思うこともよくあります。

 

子どもと一緒にいたい気持ちもありつつ、この仕事も本当に好きなんです。それに夫婦2人とも、水商売なので頑張らなければ…という現実的な面もあります。

私の帰宅が遅いせいなのに…

クリスマス前のイベントにて

── 今は、お子さんは小学3年生になったそうですが、仕事で帰宅が遅くなるときは、何時くらいになりますか?

 

虻川さん:夜9時を過ぎることもあります。ロケや収録が延びて、当初の予定より終わりが遅くなることもたまにあるし。私の帰りが遅くなる日は、今でも知り合いの家で預かってもらっています。

 

それに、夜9時過ぎに帰宅して、そこから私が宿題を見ることもあります。でも、子どもはその時間になると眠いんですよ。眠くて宿題にも集中できないんです。それなのに、自分の疲れもあってか、子どもがダラダラと宿題をやっているように見えて、「ほら、そこ間違えてる。何回言ったらわかるの」とキツくあたってしまうことも。遅い時間に宿題をやらせているのは、私のせいなのに、罪悪感でいっぱいです。

 

いったい世の中の働くママたちはどうやっているんだろうと思いますね。仕事と子育ての両立の悩みは尽きない(笑)。でも、なんとか折り合いをつけて前向きにやっていきたいと思います。

 

PROFILE 虻川美穂子さん 

埼玉県出身。高校の同級生だった伊藤さおりさんとお笑いコンビ「北陽」を結成。現在、1児のママとして、仕事と子育てに奮闘中。著書に『北陽の‟かあちゃん業“まっしぐら』(主婦の友社)。

 

取材・文/間野由利子