僕はあなたと何をしたらいいですか?

── 山添さんから、何か意見を言われたり、言い返してくるようなことはありましたか?

 

山﨑さん:なかったですね。「そんなこと言わなくてもいいじゃないですか」って言うくらい。逆ギレして「別に時間守らなくてもいいじゃないですか」も言われなかったし、相方は、ただただ楽しくしたいって感じだったと思います。

 

でもあるとき、舞台で相方が私をいじったけど、私が笑いで返さなかったのがすごく嫌だったみたいで。相方は、根っからのお笑いの人だけど、私は女の自分も意識があって「なんでそんなこと言うの?」ってなっちゃって。向こうはシンプルな人なので、楽しくやりたい。おもしろくやりたい。コンビ仲が悪くても舞台上で笑いになればいいじゃないかって人なんです。それが、楽しくもできない。舞台でも笑いにしてくれないってなったら、じゃあ、僕はあなたと何をすればいいですか?ってなっちゃったみたいです。

 

── 相手に「解散」と言われて、どのように話をしたのでしょうか?

 

山﨑さん:恋人から振られそうになったときに、泣きながら説得するのと一緒でしょうか「何でもするから私〜、言われたこと全部直すから〜」って泣きながら言うような。「まだ、2人でおもしろいこともできるはずだから、もうちょっと頑張ろう」って説得したら、思いとどまってくれました。根っこは、今でも思ってますよ。「なんで、今からご飯食べに行くの?」って思ってますけど。

 

こっちは一度解散を宣言された身ですし、いろいろ気をつかい出すじゃないですか。そうなると、今までだったらキレているようなことも、少し俯瞰して感じられるようになったとは思います。今でも言いたいことは言いますが、相手に対して1枚フィルターを通してから言うようになったというか。そこからは、過度な期待もせず、コンビの空気も変化していったように感じます。

 

PROFILE 山﨑ケイさん

千葉県出身。2013年山添寛と相席スタートを結成。趣味は旅行、食べ歩き、料理、他人の恋愛の悩みを解決すること。

 

取材・文/松永怜 撮影/長谷川裕之