相席スタートの山﨑ケイさん。相方の山添寛さんと順調に仕事が増えていると思っていた最中、突然、解散宣言をされたことがあったといいます。(全4回のうち2回目)
相方の行動が考えられなかった
── 山﨑さんは、しっかり者と思われることも多いそうですね。
山﨑さん:ちゃんとしてる、しっかりしてる人だって、振る舞いたい気持ちはありますね。先輩に可愛がられるタイプではないですけど、ルールは絶対守りたいし、バレないからいいやとか、そういった感覚も全然ないですし。
── 時間に遅れたり、締切に遅れることもないですか…?
山﨑さん:そういうのはあります(笑)。めっちゃあるんですけど。自分に厳しいというより、人に厳しいかもしれないですね。自分がやっていることを人に強要しがちというか。
たとえば、スタジオの収録でお水のペットボトルを出してもらうとしますよね。途中でちょっとお水を飲んだりして、収録が終わったら、私はお水を持って帰ったらいいのにって、思うんです。お水がいらなくて荷物になったとしても、スタッフさんが出演者全員分のお水を捨てるのってけっこうな手間だし。
でも、出されたお水をどうしようと、その人の自由じゃないですか。そんな細かいことで、いちいち気になるっていうのはありますね。
── 相方の山添さんに対してはいかがですか?
山﨑さん:きつく言ってましたね。たとえば夜8時からネタ合わせしましょうってなったとするじゃないですか。私は絶対8時までに、もしお腹が空いてたらご飯を食べてくるんです。でも、相方は9時くらいになって「ちょっと飯行ってきていいですか」って言うんですよ。私としては考えられない。100歩譲って「コンビニ行ってきていいですか?」ならまだしも、相方は食べに行くんです。そういったことが、コンビを組んだ初期の頃は、許せなかったですね。
── 正論と言えば、正論に聞こえますが、どうなんでしょう…。
山﨑さん:当時は、自分が絶対正しいって思ってましたけど、私が強く言いすぎてギスギスした空気になったり。「ご飯行ってきていいか?」って聞かれて「いいよ」って言ったのに、相方を待ってる時間にイライラが募って、相方が帰ってきたら当たっちゃうとか。
自分が正しいと思ったら言えばいいし、言わなかったら流せばいいんだけど、言わないのにイライラするとか。正論だけど、正論が人を苦しめたり、今まで他の人間関係も含めて、いろいろこじらせてきたのかなって思うことはあります。
そもそも、相方はすごくおおらかで穏やかな性格…いい言葉で言えばですけど(笑)。マイペースで柔らかい人で。私とは性格も真逆なんです。相手と自分は違うって、もっと理解していればよかったんですけど…。
あなたとは本当にもう無理です!
── そう思うような、きっかけがあったのでしょうか?
山﨑さん:今の相方に「解散してほしい」って言われたことがあったんです。今から5、6年くらい前かな。
私がいつものごとく怒ったら、「本当にちょっと無理です。もう一緒にできません」って言われました。びっくりして「じゃあ、これからどうするの?」って聞いたら「お笑い辞めます」って言われたんです。
私とは違う人とコンビを組むとか、ひとりでやりますって言うなら、そんなに反省しなかったかもしれないです。でも「お笑い辞めます」って言われたのが衝撃でしたね。相方は、お笑いがすごい好きなんですよ。子どもの頃からずっとお笑いをやりたくて、今まで続けてきたのを知ってたのに、そこまで追い詰めたんだなって。
自分は悪くないと信じてたけど、あれ?私、間違ってたのかな…って初めて思いました。
── 山添さんは、解散したい理由など具体的にお話されたんですか?
山﨑さん:きっかけになったことはあったんですけど、前から積み重なっていたんだと思います。
── たとえば、プライベートでうまくいかないことがあったときも、あたってしまうようなことはありましたか?
山﨑さん:私はそのつもりはないんですけど、相方から、私に彼氏がいなかったのも原因だと思うって言われてました。今の旦那とつき合ってから丸くなったってすごく言われるので、環境もあるのかな。
あの頃は、仕事は増えたと言ってもまだまだでしたし、家に帰ってきても心休まる相手もいない。周りの友達は結婚して家を買うとか、大きな会社で安定した仕事につく友達も多いなかで、お金もないし将来も不安。バイトもめちゃくちゃ入れてたけど、寝る間もないほど忙しい。でも、相方は、聞いたことはないけど仕送りをもらっていたのか、ギャンブルでお金があったのか知らないですけど、のんびりしてるように見えて、何で私ばっかりって勝手に思ったり。まぁ、相方は、極端なことを言えば、お金がなくてもカツカツする性格ではないんですけど。
とにかく何もかもうまくいかなかったですね。自分のイライラの矛先が、全部相方に向かってたのかもしれないです。