「本当は新たな一歩を踏み出すのが怖いし、『傷つきたくない』という気持ちは、すごく強いです」と話す女優の奈緒さん。4月13日より放送の話題作『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)では、主人公・吉野みちを演じます。多くのことに踏み出せるようになった背景などについて、お話を聞きました。(全3回中の2回)

 

奈緒さん
自分の言葉を探しながら、真剣に質問に答えてくれた奈緒さん

新たな挑戦に踏み出す「勇気をくれる」もの

── 近年は舞台にも出演されるなど、さまざまなチャレンジをしています。でも以前は、自分で限界を決めてしまったり、傷つかないよう、ご自身にストッパーをかけたりするタイプだったそうですね。

 

奈緒さん:もっと本格的にお芝居の仕事がしたいと思い、地元の福岡を離れて上京したくらいから、意識的に「新しいことにチャレンジしよう」と考えるようになりました。

 

今も新しい挑戦をするとき、怖いと感じる気持ちはあります。でも、そこで立ち止まってしまい時間がかかると、どんどん踏み出すのが怖くなるし、傷が大きくなる…。

 

そう考えて、「傷つくかもしれないけど、まずは最初の一歩を踏み出す」というのを心がけています。

 

── そう思っても、なかなか勇気が出ないことはありますよね?

 

奈緒さん:ありますね。そんなときは高校時代からの親友に連絡して、「一歩」の背中を押してもらっています。

 

自分で踏み出す勇気を引き出すためにしているは、今まで自分が出会ってきた人たちの顔を思い浮かべること。楽しい記憶をよみがえらせると、「もし傷ついても、またきっと同じような幸せな時間が訪れる」と信じられて、踏み出す勇気が湧きます。

 

今まで出会った人たちやその記憶に支えられながら、みんなの笑顔を思い浮かべ、「一緒に乗り越えている」という感覚がとても大きいです。過去の思い出や、出会ってきた人たちのおかげで、今の自分が新しいことに踏み出せていると感じますね。

 

奈緒さん

大人になったから芽生えた「娘としての自我」

── 親友に相談される話が出ましたが、奈緒さんはお母様ととても仲が良い印象があります。お母様にも相談することはありますか?

 

奈緒さん:母には最近、仕事に関しての相談はしなくなっていますね。やっぱり心配をかけたくないですし、ここ数年は家に心配ごとを持ち帰らないようになりました。

 

そのぶん、ご一緒している現場のみなさんを頼りにする部分が、自分のなかで大きくなっていると思います。

 

ただ仕事については相談しませんが、プライベートのことは人生の先輩でもあるし、自分が「どうしていきたいのか?」など、母にいろいろ相談します。仕事から離れた面では、これまでと変わらず、母に頼るところが多いですね。

 

奈緒さん

── 頼りになる存在なのは変わらなくても、なんでも相談するわけでは、なくなってきた?

 

奈緒さん:そうですね。ひとりの人間として、「自分自身で選択することの意義」や「自分で選択することを意識しないといけない」と、だんだん考えるようになった感じがありますね。

 

今、母と一緒に暮らしているので、ちゃんと自分で選択することを意識しないと、ずっと心地のいいところで「自分が甘えすぎてしまうんじゃないか?」というのは、やっぱり考えますし。

 

── 自立した女性として、娘として、「大人になったから…」といった感覚があるのでしょうか?

 

奈緒さん:最近になって、今まで育ててくれたことに対して、「本当に、すごく大変だっただろうな…」と。年齢を重ねたことで少しずつ、母の気持ちがわかる部分が増えてきました。

 

そうした点では、自分でも「ちょっとは、大人になれてきているのかな…」と感じますね。そのぶん、「頼りがいのある娘になりたい」という自我が、芽生えているところです(笑)。

 

奈緒さん

 

PROFILE   奈緒さん

1995年福岡県出身。10代からモデル・女優として活動し、多数のドラマや映画、舞台、CMで活躍。4月13日夜10時より放送の木曜劇場『あなたがしてくれなくても』では、主人公・吉野みちを演じる。

 

取材・文/鍬田美穂 撮影/二瓶 彩