「みち役をいただけたこと、『責任重大だな』と感じながらも、すごく嬉しかったです」と語るのは、女優の奈緒さん。4月13日夜10時より放送のフジテレビ木曜劇場『あなたがしてくれなくても』で、主人公・吉野みちを演じます。

 

作品やキャラクターへの思い、夫・陽一役の永山瑛太さんほか共演者の方たちの印象など、お話を聞きました。(全3回中の1回)

 

奈緒さん
透明感のある白い肌と美しい瞳が印象的な奈緒さん

原作ファンとして「絶対におもしろい作品になる」

── セックスレスに悩む男女を描いた、ハルノ晴さんによる人気同名コミックスが原作の『あなたがしてくれなくても』。以前から、作品をご覧になっていたそうですね。

 

奈緒さん:すごくおもしろくて「どんな展開になるんだろう…」と、ワクワクしていた一読者だったんです。映像化は驚きましたが、「絶対におもしろい作品になる」と思いました。

 

実写化では原作に忠実につくられる場合と、オリジナリティを加えるケースがあります。今回は原作で大切にしている部分は繊細に描きながらも、現代に生きるみなさんが身近に感じられるエッセンスが加えられているので、ストーリーを知っている方にも、新たなドラマ作品として楽しんでもらえると思います。

 

── 奈緒さんご自身がみちの立場になったら、どうしますか?

 

奈緒さん:とことん相手と向き合い、話し合って結論を出すと思います。みちのように自分が耐えて、少しずつ関係をよくしようとするのは心や愛が強いと思いますけど、せっかちというか(笑)、すぐに結論を出したくなってしまうタイプです。

 

話し合おうとしても上手くいかなければ、「一度離れて、自分自身と向き合うほうがいいのかな」と考えて、よく聞く「ちょっと実家に帰ります」みたいなことになるのかな(笑)。

 

── どんなポイントに、注目してもらいたいですか?

 

奈緒さん:自由に、楽しんでもらえたらと思います。強いワードなので「セックスレスがテーマ」と聞いて身構えてしまう人もいるかもしれませんが、登場人物たちがパートナーとの人間関係に立ち向かい、もがきながら困難を乗り越えていく姿を描いています。

 

私たちは、人間関係を除いて生きていくことはできません。家族は最初に知る人間関係ですし、新しい家族をつくるのは挑戦であり、きっと今まで知らなかった幸せを知ることでもあると思うんです。

 

だからこの作品が、「大切な人や自分自身と、向き合うきっかけになってくれたら…」と思いますね。

 

奈緒さん

岩田剛典さんとは「好きな食べ物は?」から

── 夫・陽一役の永山さんとは、福岡にいらしたときから交流があったそうですね。

 

奈緒さん:共演は3回目ですが、最初にご一緒したときはまだ地元にいて、これからお芝居を本格的にやりたいと上京を考えていたころで、相談に乗っていただきました。長い時間しっかりお芝居するのは初めてで、俳優としてすごく尊敬する先輩と、ご一緒できるのが嬉しいです。

 

瑛太さんは、私のどんな芝居も受けとめてくれる器の大きな方。私は結婚生活が未知なので、結婚している先輩としても、夫婦を演じるうえでの相談をしています。

 

撮影の合間には、福岡にいたころからのことを「どうしていた?」と聞いてくれたり、「大人の恋愛」がテーマの作品なので、ちょっと恋バナというか「こういうときって、どうする?」と話したり、すごく心地よく撮影できています。

 

── 上司・新名誠役の岩田剛典さんとも、ご一緒のシーンが多いと思います。

 

奈緒さん:岩田さんは壁を感じさせない、すごく優しい空気がずっと放たれている印象です。みちがついつい寄りかかってしまう、新名さんのキャラクターにすごく通じる部分がありますね。

 

実は初共演で、「はじめまして」の状態。だから「好きな食べ物は?」から(笑)、お互いのことを知り合っている途中です。みちと新名さんは上司と部下で、最初は特別親しいわけではないため、会話をするなかで関係が深まる流れの変化が、上手くお芝居にも出ればいいな…と思っています。

 

奈緒さん
モデルとしても活躍する奈緒さん。ふとしたポージングも素敵

新しい感情が生まれたら誰かに打ち明けたい

── この作品では、みちが秘めていた悩みを新名に打ち明けたことから、物語が大きく動き出します。奈緒さんご自身が悩みを誰かに打ち明けて、変わったことや「言ってよかった」という経験はありますか?

 

奈緒さん:ありますね。

 

舞台『DOORS』で元乃木坂46・伊藤万理華ちゃんと、友達役でご一緒しました。設定では、あまり仲がいいわけではないところから、絆が深まっていく役だったのですが、年齢も近いし、私は万理華ちゃんが本当に大好きで。

 

舞台ですから毎日、顔を合わせてお芝居をするうち、万理華ちゃんがあまりに素敵すぎて、なんだかすごく自分のなかに“今まで感じたことのない気持ち”が湧いてきたんです。

 

── どんな感情だったのでしょう?

 

奈緒さん:ちょっと悲しいような、よくわからない気持ちに悩んでいて、“これはなんだろう?”と考えるうち「これはきっと“嫉妬”だ!」と。今まで誰かに嫉妬したり、ヤキモチを焼いたりってことがなく生きてきたので、自分でもびっくりしました。

 

それですぐ万理華ちゃんに、「世の中にこんなに素敵な子がいたんだと思って、生まれて初めてヤキモチを焼いた」って打ち明けたんです。

 

── 本人に?(笑)

 

奈緒さん:本人に(笑)。

 

素直に打ち明けて、私自身すごくスッキリしたし、万理華ちゃんも「ありがとう!」って、すごく喜んでくれて…。嫉妬が必ずしもマイナスな感情じゃなく、前向きに受け入れられたのも、とても嬉しかったですね。

 

だからこれからも新しい感情が生まれたら、誰かに打ち明けようと思います!

 

奈緒さん

 

PROFILE   奈緒さん

1995年福岡県出身。10代からモデル・女優として活動し、多数のドラマや映画、舞台、CMで活躍。4月13日夜10時より放送の木曜劇場『あなたがしてくれなくても』では、主人公・吉野みちを演じる。

 

取材・文/鍬田美穂 撮影/二瓶 彩