「最初は安い文房具でした。次第に高いものに手が出て、高額なブランド品を次々と買って、気づけば借金までして」と話すのは、過去に買い物依存症で悩んでいた田中紀子さん。深層心理にあった母との不仲がきっかけだったと言います。葛藤とそれを抜け出すよりどころについて、話を聞きました(全3回中の2回)。

 

依存症を抜け出そうと全国から集まった人たち。真剣に田中さんの話に聞き入る

夫婦で「依存症」を治すために自助グループへ参加

仕事熱心で家族思いの夫と結婚した田中さんは幸福な毎日が始まると思いましたが、待っていたのは苦しい現実…。夫はギャンブルと借金がやめられなかったのです。

 

5年後、精神科で夫は「ギャンブル依存症」、田中さんは「共依存」と診断されます。

 

「医師から『ギャンブル依存症は病院で治療するものではないので、当事者と家族が集まる自助グループへ参加してください』と勧められました。

 

自助グループは依存症に苦しむ経験を持つ当事者や家族が、それぞれの考えや経験を語り、問題を乗り越えるのを目的とする場所です。

 

そこで同じ苦労を重ねた仲間たちと出会え、ホッとしました」

 

自助グループでは、基本的に「言いっぱなし、聞きっぱなし」。アドバイスなどはせず、ただ黙って話を聞き、お互いの秘密は守ります。

 

人に向けて話をすることは効果が大きく、漠然とした思いが言語化され、自分が何に悩んでいたのか、どんなことを思っていたかを客観視できるのです。

 

しかも、みずからの話を第三者に受け入れてもらうことで、「自分は認められている」という安心感を得られるといいます。