結婚して家事をこなすなかで気づいた自分らしさ

── 16歳で舞妓の世界に飛び込み、20代で引退。これは早いほうでしょうか、これからという時期に、もったいないような気もします。

 

MOEさん:舞妓・芸妓の世界では90歳近くまで現役の方もいれば、20歳前後でやめて専門学校や大学に進む人もいるなどさまざまです。

 

私の場合は結婚のために引退。夫から「専業主婦になって家庭に入ってほしい」と言われました。

 

でも、お米を研いだこともないので、新婚生活を送る東京で料理教室に通うところから始めることに。

 

彼が東京と海外を行き来する生活をしていたので、私も彼と一緒に海外で生活を。自宅にお客さんを招いて料理をふるまう機会が多く、海外で日本食を作る大変さも身に染みましたね。

 

結果、現地での食材の入手方法、調味料の工夫など、YouTube動画制作でヒントとなりました。

 

── 私も経験がありますが、海外で日本食を作るって本当に大変ですよね。ゼロから料理教室に通って、毎日、料理を作る日々で感じたことは?

 

MOEさん:彼の希望で家庭に入りましたが、だんだん疑問がわいてきたんです。

 

このままずっと家にいて、彼のために日本食を作り続けるのが私の人生なのか、“誰々の奥さん”と呼ばれるばかりで、私個人の存在って?



外とのつながりが欲しい、自由になりたい。自分の収入があれば、自由になれるのかもしれない。働きたい気持ちと葛藤する日々でした。そうしたなかで考え方があわなくなり、数年後に離婚しました。