バイトで食いつなぐなかで出会ったいまの夫
── ご主人はMOEさんの変化を受け入れられなかったのですね。離婚後は京都に戻られたのでしょうか?
MOEさん:京都には戻りませんでした。東京に出てきたとき、京都しか知らない私は「こんなに世界は広い」「東京ってなんて自由なの」とハッとしたんです。
良い意味で、隣の人が何をしようと関知しないですよね。
離婚後、自分の名前で初めて部屋を借りました。多くの会社に応募したり、つてを頼ってアルバイトや事務職をかけもちしながらなんとか食いつなぎました。東京でひとり暮らしするって、なんて大変だろうと。
── 東京での暮らしはお金がかかりますものね。その後、現在のご主人と出会ったのでしょうか。
MOEさん:もう二度と結婚しないと決めていましたが、出会った彼(現在の夫)は私を尊重してくれる人なので、この人とならやっていけると確信。
“僕は僕、あなたはあなた”と、過度に干渉しない姿勢が楽でした。
思い返せば、祇園も最初の結婚生活も、男性をたてる世界でした。離婚後はつらいできごとも経験し、私は“本当の自由を得たのか”、“自分の判断は正しかったのか”と、考えあぐねたことも。
でも、苦しいなかで「自分の気持ちに正直に生きよう」とはっきり悟った時期でもあります。このときの経験が、のちに自分が大好きな着物を着て等身大の日常を発信する原動力となりました。
PROFILE MOEさん
京都府出身。祇園で舞妓・芸妓として活躍。2020年2月にYouTubeチャンネル「Kimono Mom」を開設、2023年1月末時点で登録者が150万人近くに。海外メディアでの掲載多数。3歳児のママ。
取材・文/岡本聡子 画像提供/MOE