何もできない自分に「毎日が苦しかった」

── 緊急事態の慌ただしい現場で、もどかしい思いをされたのでは?

 

狩野さん:今考えたら、やれることはあったはずなんです。

 

「原稿がもうすぐできます」という伝達係。「何か必要な情報ありますか?」と確認し、リサーチ役としてディレクターと同じように動くなど、今なら“ペーペーだった自分でも、できたこと”がわかります。でも、そのときは想像もできなくて…。

 

災害が起きたときに「自分は何をすべきなのか」や、報道に携わるものとして「どんな役割を自分たちが担わなきゃいけないのか」ってことを全然、理解できていなかったと思います。

 

── 当日だけでなく、私たちの日常も報道現場も通常とは違う状況が続きました。

 

狩野さん:戸惑うばかりで、何もできない自分が歯がゆいし、悔しい。「通常放送に戻るまでは、どんな仕事をしていたんだろう?」と思い出すのが難しいくらい、正直、毎日が苦しかったですね。そのころの気持ちは、今も記憶に残っています。

 

テレビ東京・狩野恵里アナウンサー