「人を不安にさせるような投稿はしない」。それは水野さんがブログを始める際に心に決めていたルールだったといいます。きっかけになった出来事やその思いと、熱心な「推し活」ライフについても伺いました(全5回中の5回)。

「まったくキラキラしていない」ブログを綴るワケは

── 2年前からスタートしたブログでは、日常生活での出来事や感じたことが軽快なタッチで綴られ、飾らない人柄が伺えます。女優という職業柄、もっと華やかでキラキラとした投稿をイメージしていたのですが、豊富な食の知識をベースにした節約料理や、懐かしの食べ物のレポート、時には社会問題を自身の目線で切り込んでいたりと、充実した内容ですね。

 

水野さん:ありがとうございます。実際、キラキラした生活をおくっているわけではないですし、ごく普通です(笑)。ただ、こういうお仕事をしていると、周りからチヤホヤされることもありますが、「そういうのって、なんだかフワフワしている」という感覚がありましたし、勘違いしてはいけないとずっと思っていました。

 

もともとサラリーマン家庭で育ちましたし、一度上げた生活レベルは下げられないと思っていました。身の丈に合った暮らしをするのがいちばん、という感覚が身についていますね。

 

小学生の頃の水野さん。3きょうだいの真ん中として育った

── 堅実な感覚が身についていらっしゃるのですね。ブログやSNSをするときの「マイルール」はありますか?

 

水野さん:ブログを始めるときに決めていたのは、「人を不安な気持ちにさせるような投稿はしない」ということでした。「これを買いました」とか「こんな特別な場所に行きました」というようなキラキラとした投稿をみて、「そうでない自分はどこかたりないのかな」と不安に感じてしまうこともあると思うんです。

 

そうではなくて、読んでくださった方の心が少しでも軽くなったり、皆さんのお役に立ったりするような情報を発信したいという思いでやっています。

 

── そうした考えに至るには、なにかきっかけがあったのでしょうか。

 

水野さん:以前、ある女性ファッション誌に掲載されていた記事で、フランス文学者の方が、「これは人を不安にさせる雑誌ですね。“こういうものを持っていない私は何かたりないんじゃないか”と思わせてしまう」というようなことをおっしゃっていて。

 

それを読んで、目からうろこが落ちました。キラキラとした投稿を「私もこんなふうになりたいから頑張ろう」とモチベーションに変える方もいますが、人とくらべて不安な気持ちに陥ったり、心が波立ったりしてしまう方もたくさんいる。そのことを決して忘れてはいけないと思いました。