金髪の由来と子育ては「ハラハラです」

── 息子さんは金髪に男物のセーラー服がトレードマークですが、この髪型はいつからされているんですか。

 

すずきかなこさん:2歳でマイケルジャクソンにハマって、5歳のときにはMr.ビーンを観ていたのですが、高校1年生、15歳のときに観たイタリア映画の『ベニスに死す』にどハマりして。

 

それに出ているビョルン・アンドレセンが金髪にセーラー服なんですが、「僕これになりたい」と言い出したのが始まりです(笑)。

 

── 海外の俳優さんに憧れてなんですね!

 

すずきさん:「えっ、あの絶世の美少年に!?」って。「髪も染める、金髪にする」と言ったので、まずは学校の校則を確認して、先生にも確認して。自由な校則で、髪を染めても大丈夫だったので金髪にしたんですが、さすがに周りで染めている子も茶髪とか、少しメッシュを入れるくらいで、金髪の子はいなかったようで…。

 

昨年、長年の夢だった幼魚水族館をオープンさせた鈴木香里武さん。金髪とセーラー服がトレードマーク!

どちらかというとクラスでは大人しいほうだったので、学校に行ったらみんなが「何があったんだ」状態だったと言っていました。職員会議にもかけられたそうですが、決してグレたわけではないからと認めていただいて。そこからずっと金髪です。

 

── 大学在学中に起業して、その後も本の出版やテレビの出演など多方面で活躍されていますが、いつごろから会社を作りたいと言っていたんでしょう。

 

すずきさん:私たち親は小さいころからいろんな方に会わせていたんですが、だんだん大きくなるにつれて大人に夢を語って、いつの間にかいつか一緒に仕事をするような会話をしていました。そこから自分で名刺を作るようになって。

 

さまざまな分野の方とコラボレーションすることでいろんなことができるからと、まずは会員制の「カリブ会」を作りました。会員が200人になったら起業すると言って、大学1年生のときに会社を作りました。

 

イタリアのベネチアで、運河沿いの街並みをバックに親子の2ショット

小さいころは苦手だった人と話をすることも、大人と接することで克服していったと思います。本人は「自分が何かをするときはすべて苦手から入っている」と言っています。本当は人と話すことも人前で話すことも苦手だけれど、頑張っていくうちにだんだん楽しくなっていったそうです。

 

念願だった幼魚水族館のオープンも、繋がりがある方から「そこまでブレない夢があるならやってみよう」と言われたことがきっかけです。本の出版もそうですが、大人がチャンスをくれることで成り立っていると思います。

 

── 起業は自然の流れだったんですね。

 

すずきさん:息子の意見を尊重はしてきましたが、節目節目では悩みました。起業したときは、「大学のサークル代わりに活動しているんだ」くらいに思っていて、ときが来たら就職すると思っていたんです。

 

あるとき、「世の中には就活というものがあるんですが…」と聞いてみたら「僕は入りたい会社はないからこのままでいい」って。少しずつ仕事をするようになってから、今度は大学院に行きたいと言い出しました。前期は心理学を学んで、後期は海洋学を学ぶために専攻を変えるから突然、別の大学院を受験すると言って勉強を始めて…。いつ何を言い出すかわからないので今でもハラハラです。

 

ただ、好きなことをしているので楽しいとは思います。同級生が社会人になったとき、まだ何者でもなかったので、正直スロースターターだったとは思います。でも自分は納得したことをしたいし、根拠はないけれど自信を持ってやればなんとかなる。出会いも宝で、出会った人を大切にしていきたいと言っています。親としては自分で切り開いていく道を応援してあげたいと思いますね。

 

PROFILE すずきかなこさん

ラジオ番組のアシスタントとして勤務し、作詞家として明石家さんま、吉田栄作、石田純一等に歌詞を提供。子育ての経験を活かして2002年〜幼児向けの歌の作詞を手がける。「おかあさんといっしょ」、「いないいないばあっ!」を中心に、小さいお子さんが楽しめてお母さんの子育ての役に立つような歌詞を生み出している。

取材・文/内橋明日香 写真提供/すずきかなこ