「どうして会わせてくれなかったの」と息子は夫の死を知り
シングルマザーになったケイコさんは朝から晩まで働きました。そして息子が小学校に上がるころ、ようやく正社員の道をつかみとりました。
「働きながら今度は資格をとって、少しでも給料が上がるようがんばってきました。息子も小学生のころはいい子だったんですよ。私が帰るとご飯を炊いておいてくれたり、高学年になるとテレビの料理番組を観て作ってくれたり」
ところが2年前、ケイコさんが離婚した元夫が突然、亡くなりました。すでに14歳になった息子に伝えると、それが息子の心にどういう影響を及ぼしたのか、その後、荒れるようになったのです。
「どうしてお父さんに会わせてくれなかったんだと。私は何度か会えばいいと勧めたのに、“父は母を苦しめた人だから会いたくない”と言っていた。でも死んで一生会えないとなると、別の感情がわいてきたんでしょうね」
息子が苦しむ様子がわかったので、学校をサボるようになっても見守るしかないと感じました 。いつか息子自身が乗り越えなければならない壁だと思ったからです。
「そうした状況をうっかり姉に話してしまったんです。私自身も苦しかったから。姉はその後、勝手に役所に相談したり、息子に『あんなお母さんで、あなたもかわいそうにね』と余計な声をかけたり。“育て方が悪いのよね”とも、面と向かって言われました」
その後、息子は本人なりにいろいろ考えたのでしょう。担任の先生が気を遣って息子の気持ちを丹念に聞いてくれたことも功を奏し、いまは通学するようになりました。ところが姉の干渉は止まりません。