自分たち夫婦の今後を考えるきっかけになった

義父と同居してもいいと思ったのは、そうすれば義母が傷つくだろうと感じたから。義母への復讐心があっただけ。実際に義父と同居することを考えたら、やはり気が重いと気づきました 。

 

「最終的には一軒家を売り、財産分与をして離婚するようです。義父は私たちにも遠慮したのか、しばらくはひとりで気ままに暮らすと決断したのですが、義母は義姉一家と住むと騒いでいる様子。

 

義姉は夫に『あんたがめんどう見てよ』とたびたび電話をしてきますが、夫はのらりくらりと話を交わしています。

 

義母はひとりで生活したことがないので不安なのかもしれません。もちろん私は絶対に義母は受け入れられません。夫もそれはわかってくれている」

 

それにしても、とマサミさんは声を落としました。

 

「“いい年していまごろ離婚しなくてもいいのに”と、夫が言ったので苦笑しました。義父は義母と添い遂げるのが嫌になったんでしょう。

 

離婚したいと思ったら、年齢も性別も関係ない。“年をとっている分、この先を考えたら解放されたいと思うこともあるんじゃないの”と夫に言ったら、“ああはなりたくないと、つくづく思うよ。オレたちは気になることがあったらちゃんと話し合おうな”と、いつになくまじめな顔で言うんです」

 

義父母には気の毒ですが、ふたりの離婚問題はマサミさんたち夫婦にとってはいい反面教師になっているのかもしれません。

 

文/亀山早苗 イラスト/前山三都里