静かで誰にも邪魔されない空間でパソコン作業に向かう。「そんなのは子育て中にはありえない!と気づかされました」と、脚本家の池田テツヒロさん。部屋に乱入する子どもを受け入れ、環境のせいにもしない。せわしない自宅で仕事をする池田さんのマインドにドキッとする人もいるでしょう。

 

よく部屋に乱入してくるという娘さんと池田さんの微笑ましい姿

1か月家に帰れないことが「働き方を見直すきっかけに」

── 20年近くされている役者のお仕事は、いったん撮影や稽古に入ると、拘束時間も長く、家族で過ごす時間がとりづらい印象があります。

 

池田さん:たしかに、役者の仕事は現場で拘束される時間が長く、なかなか家にいられませんし、いったん撮影に入ると自由もききません。舞台の場合も、地方公演で1か月以上家に帰れなくなることもザラです。

 

ですから、たとえば幼稚園から連絡があって、子どもが熱を出してお迎えが必要な場面でも駆けつけることができないし、家事もできない。そういう状況は、自分にとってしんどいなあと感じていました。

 

家族と一緒に過ごす時間をもっと増やすにはどうしたらいいんだろうと、真剣に考えるなかで、「執筆の仕事なら家にいてもできるんじゃないか」と、働き方を見直すことにしたんです。

 

── 家族と一緒に過ごす時間を増やすために、仕事自体を見直そうと思われたのですね。

 

池田さん:その思いが起点にはなっていますが、もともと脚本家になりたくてこの世界に入りました。近年は役者だけでなく、脚本や演出のお仕事もしていて、コロナ禍の少し前から、「もっと執筆業にも力を入れたい」気持ちは持っていたんです。

 

その後、執筆の仕事が順調に増えて、いまではありがたいことにかなり忙しくなってきました。その分、やるべきタスクも増えて目まぐるしい日々ですが、家族のそばにいられることに幸せを感じています。