もう歌いたくない!家出をして…

手すりに手をかけ、都会の空を見上げる川嶋さん

── そもそも音楽を始めたきっかけは、4歳のころ、人見知りだった川嶋さんを心配されたお母様が、川嶋さんを音楽教室に連れていったことからスタートしたと聞いています。

 

川嶋さん:私が音楽教室で初めて歌ったときの、あの笑顔が忘れられないって。心を開いてくれたらって思ったみたいです。母はずっと病弱だったし、私が10歳のときに父が亡くなりました。でも、川嶋家の経済状態が厳しくなっても、借金をしても、私が音楽活動を続けられるようにしてくれましたね。

 

── ご自身では、歌を歌うことについて、どう思っていましたか?

 

川嶋さん:私には、歌の才能がないと思っていましたし、音楽以外にも可能性はあるんじゃないかって思うこともありました。実際、母にこのまま歌を続けるかどうか、相談したこともあったんですよ。でも母は、「歌をやりなさい」って。レッスンに向けて、家で歌の練習していなかったときは、めちゃくちゃ叱られました。

 

── では、そのまま辞めることもなく。

 

川嶋さん:ただ、小学6年生のとき。1回だけ「もう、本当に歌をやりたくない!」と思って、家出をしたことがあったんです。家出中に音楽教室の先生のところに行って、先生とたくさん話をしました。

 

先生は、「お母さんが、どれだけ愛のことを思って生きているのか。育ててくれているのか。でも、愛の人生だから、好きに決めていいと思う。このまま歌を辞めてもいいし、続けてもいいし」と。いろいろ考えた結果、歌を続けることに。結局、歌を辞めようって思ったのは、その1回だけですね。