やりたいことって何だろう…いまだに思う

小学6年生のときに、家出をしたことも

── 歌は、ご自身が好きで歌を歌っているのでしょうか。お母様のために歌っていたのでしょうか。

 

川嶋さん:間違いなく、母のために歌っていたと思います。でも、それが嫌か?っていうとそうではなく。それはそれで、私の人生。自分が好きなことや夢を職業にしている人も素晴らしいと思います。いっぽうで、自分がやらなくてはいけないこと、成し遂げなければならないことを、夢や目標にして生きていく。そういう人生を、私は選べたんだと思います。

 

── 今は、川嶋さんがやりたいことは、できていますか?

 

川嶋さん:やりたいことってなんだろうって、いまだに思いますけど…。多分、この生き方が自分にとって、いちばん自分らしくて、幸せなんだろうなって思いますね。

 

歌に対する意識も、昔からあんまり変わってないです。いつまでも追いつけないし、憧れもある。16歳から渋谷で路上ライブをやっていたときからそうです。音楽って、すごく戦わなきゃいけないもの。戦って乗り越えないといけないもの。多分、そんな感じがすごく好きなんですよ。

 

だから、音楽をやっていて楽しいとか、そういう感覚じゃないんですよね。好きなことをして楽しくやるっていうより、好きなこと、めっちゃ苦しんでやる。自分の生き方にも合っているし、今も続けられるんだろうなって思います。

 

PROFILE 川嶋あいさん

1986年生まれ。福岡県出身。シンガーソングライター。2003年にI WiSHのaiとして人気番組の主題歌「明日への扉」でデビュー。2006年からは本格的にソロ活動をスタート。代表曲としては、「My Love」「compass」「大丈夫だよ」「とびら」などがある。

 

取材・文/松永怜 撮影/阿部章仁