高齢ドライバーのいる家庭ならではの葛藤
頑なになりがちな高齢者が、運転はしないとみずから決意しただけでも素晴らしいとは思うのです。しかし万が一のときに義父が、免許があるから運転する!と言い出す可能性が残されているかと思うと、やはり返納をしてほしいのが家族の本音です。
以前は「写真つきの身分証がなくなるのは不便」とも言っていたのですが、マイナンバーカードを発行し、その心配はなくなりました。
どんどん高まる家族からの「免許返納せよ」の圧力に、義父自身ちょっと意地を張っているような気もします。あまり言いすぎるのも逆効果かも…でも…。
この葛藤は高齢ドライバーのいる家庭に共通するのではないでしょうか。
免許返納は様子を見守りながら
ひとまずわが家では、義父の慣れ親しんだ車を買い替え、鍵も義父には預けていないこともあり、今のところ再度運転を始める様子はありません。
しかし今後、義父が加齢による衰えで判断力が低下し、再度運転をしようとする可能性もあります。なるべく変化に気を配り、運転したくてもできない環境をつくること。
あとはときどき義父の気晴らしの外出に運転してつき合うなどしてガス抜きをしながら、穏やかにあと数年後には義父の免許返納を実現したい…そう考えている同居家族たちなのでした。
文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ