10代前半で芸能界デビュー。以降は目の回るような多忙な日々を送ってきた女優・加藤夏希さん。売れっ子芸能人はプライベートな時間を確保できないほど慌ただしい日常をすごすと言いますが、実際はどうだったのか。仕事を離れた素顔の加藤さんとは。『花より男子』出演時のエピソードや先輩からのアドバイスも交えてお送りします(全5回中の4回)。

「普段はヤンキーではないんですね」

── もっとも多忙だった時代の1日のスケジュールを、ざっくりと教えてください。

 

加藤さん:モデルのお仕事は早朝から始まるので、朝4時に現地集合。その後、ドラマや映画といったお芝居の仕事をしていました。多いときで1日3作品撮影していたので、3役演じる日も珍しくなかったですね。合間に作品の取材を受けて、夜中はバラエティ番組の収録に参加していました。

 

お芝居のお仕事は本番寸前に覚えて、終わったら忘れて次の現場に行ってまた忘れて…の繰り返しでした。当時は夜中12時か1時まで当たり前のように働いていたので、1日の睡眠時間は2、3時間だったと思います。

 

── いまでは、コンプライアンス問題になりかねない働き方ですね。加藤さんは20代前半で、『花より男子2(リターンズ)』の大河原滋役を演じました。演じた役柄とご自身に、ギャップはありましたか。

 

加藤さん:滋ちゃんが明るい性格のセレブなお嬢様なので、私自身も彼女の性格に倣わなくては、という思いは常に持っていました。

 

でも、本来の私はかなり人見知りで。セリフがあればしゃべることができますし、取材で質問された内容には答えることができるんですけど、それ以外のときは何を話したらいいのかわかりませんでした。滋ちゃんは率先して会話をリードするイメージを強く持たれがちだったので、実は当時、かなり困っていました。

 

公園にて。白い上着がお似合いの加藤さん

── では、撮影時の休憩時間のすごし方は。

 

加藤さん:人見知りに戻って、ほぼ誰とも話せませんでした。セリフで頭がいっぱいいっぱいだったのと、余裕を持ってお仕事に取り組めなかったという理由もあるんですけど、「意外と無口ですね」と言われたこともありました。無理をして、自分ではない自分を演じている気持ちになろうとしたこともあります。

 

ただ、演じた役と自分を重ね合わせて見られるのは当然だと思っています。「花男」の前はヤンキー役を演じていました。取材などでお会いした方々に、「普段はヤンキーではないんですね」と何度も言われて(笑)。