プリン液は材料を混ぜるだけ
キャラメリゼの後は、プリン液を作ります。「プリン液は火を使わず、材料を混ぜるだけなので、小さいお子さんも楽しく作れますよ」と江口さん。
まずは、耐熱容器に牛乳、砂糖全量を入れ、種をこそぎ出したバニラビーンズまたはバニラエッセンスを加えます。ラップをして、電子レンジ600Wで1〜2分、完全に牛乳が沸くまで温めます。
牛乳を温めている間に、全卵6個をボウルに割って、ほぐしておきます。そこへ加熱した牛乳を入れて、しっかり混ぜたら裏ごしをします。
ここで、湯せん焼きするためのオーブンを160度に予熱します。
その後、冷えて固まった状態のキャラメルが入った耐熱容器に裏ごしをしたプリン液を流し入れ、アルミホイルでふたをします。天板にカップを並べて湯を張り、150度のオーブンで60分以上湯せん焼きに。できたものを冷蔵室で2時間ほど冷やしたら完成です。
滑らかに仕上げるために、プリン液を作るときは、「裏ごしすること」と「プリン液を温かい状態でカップに入れて、湯せん焼きすること」が大切になります。
「冷えたプリン液をオーブンへ入れてしまうと、焼き上げに時間がかかるうえ、周りから焼けてムラができてしまいます。
アツアツの状態のプリン液を湯せん焼きすると、液が温かい状態を保ったままムラなくしっとり焼き上がります」
また、滑らかにするためには、アルミホイルでふたをすることもポイント。オーブン庫内の水蒸気が表面について生焼けを防ぐことができます。
天板にカップを並べ、湯を張る「湯せん焼き」にも理由があります。
「もし湯せん焼きせず強火で焼くと、ブツブツと気泡のあるプリンになります。口当たりを良くするなら、じっくりと火が通る湯せん焼きがおすすめです」
できあがったプリンは冷蔵室で冷やした後、耐熱容器をひっくり返し、上下に振ってお皿へ。昔懐かしの喫茶店プリンのでき上がりです。
「冷たいプリンもいいですが、耐熱容器のままできたての温かいプリンも絶品ですよ」と江口さん。できたての温かいプリンが食べられるのは手作りならではの特権。ぜひ味わってみてくださいね」
PROFILE 江口和明さん
パティスリー&カフェ デリーモのシェフショコラティエ/パティシエ。東京や大阪など各地に7店舗展開。SNSやレシピ本では「気負わずに作れるお菓子作り」を紹介。近著に『とんでもないお菓子作り』(ワニブックス)。
取材・文/松永加奈 写真提供/江口和明