1万人に1人といわれる難病「潰瘍性大腸炎」と闘う漫画家、島袋全優さん。みずからの闘病体験をギャグ漫画にした『腸よ鼻よ』(KADOKAWA)は現在7巻まで発売されている話題作です。19歳で発症し、約10年間で10回の手術、大腸全摘の大手術も経験。入退院を繰り返しながら、ギャグ漫画を描き続けるパワフルさにも注目が集まります。病気発覚の経緯や当時の家族の反応について聞きました(全3回中の1回)。

誤診に従ったらまさかの事態に

── 19歳の専門学生の頃、難病の「潰瘍性大腸炎」を発症されています。当時の様子を教えていただけますか?

 

島袋さん:
当時、漫画家を目指して那覇市にある専門学校に通い、課題やバイトに明け暮れていました。ずっと下痢が続いていたものの、もともとお腹が弱く、焼き肉など脂っぽいものを食べた翌日は、必ずお腹を下すタイプだったので、そこまで深刻には考えていなかったんです。

 

ところが、その状態が1か月くらい続いたときから便に血が混じり始めるようになり、ある日、トイレを済ませたら、便器が血まみれに…。慌てて病院に行きました。

 

忙しくしていたので下痢が続いても深刻に考えていなかった 『腸よ鼻よ01』第1話 ©︎島袋全優/COMICSMART INC.

── 最初の担当医には、「軽い腸炎」と診断されたそうですね。

 

島袋さん:
はい。完全に誤診でした。軽い腸炎だと診断されて下痢止めを処方されたのですが、3週間たってもいっこうに改善しない。入院後の診断でも腸炎だと繰り返され、さすがに「ちゃんと調べてください!」と懇願し、ようやく内視鏡検査をしたところ、病気が発覚しました。

 

放置していたことで、中等症くらいだった症状が重症に進行してしまっていたんです。さすがに、“ここにいたらヤバイ!”と思い、その後、転院しました。

 

── 軽い腸炎だと思っていたのに、突如、難病特定疾患を告げられて、かなり驚かれたのでは?

 

島袋さん:
1万人に1人の難病だといわれ、もちろんビックリしたのですが、聞いたことのない病名だったので、正直リアリティがないというか、あまりピンとこなかったんですよね。

 

「よく分からないけれど、死ぬような病気じゃないみたいだし、まあ大丈夫っしょ」くらいの感覚でした。今思うと、この病気を舐めてましたね。その後、入退院を繰り返す生活になるとは思ってもみませんでした。