アナウンサーを目指すきっかけは「パーティの司会」

── その後は、どのような流れでアナウンサーになられたのですか?

 

駒村さん:
帰国後は、大学に通いながら、音楽専門学校の作編曲科にも通って、シンガーソングライターを目指してダブルスクールの生活を送っていました。

 

転機となったのは、たまたま雑談をした学生課の職員から声をかけられたこと。「今度、学長就任パーティの司会をやってみないか」と言われたんです。

 

「私、司会の経験なんてまったくないんですけど」と言ったら、「原稿を用意するから読んでみて」といわれて。

 

少しドキドキしつつも、当日になって司会をしてみたら、これが思いのほかうまくいったんです。すると、学長の秘書をしていた方が吹奏楽部の顧問で、「今度は吹奏楽部の司会もやって」と頼まれました。

 

さらに、野球部のリーグ優勝祝勝会や大学の卒業パーティの司会を頼まれ、学内のさまざまな司会を引き受けるようになっていきました。

 

途中から、「あれ?私、もしかしたらアナウンサーのような仕事に向いているかも?」と思うようになったんです。

 

── 自分の意志とは違うところから、声をかけられたことが始まりだったのですね。

 

駒村さん:
当初は、まったくそんなこと想像もしていなかったんですけどね。人生、どう進むかわかりません。

 

結果として、今も長きにわたってこのお仕事をしています。あのとき、食わず嫌いではなく、まずはチャレンジしてみたことも良かったのかもしれません。

 

PROFILE 駒村多恵さん

フリーアナウンサーとして、NHK「あさイチ」のサブキャスターを務める。仕事を続けながら、在宅介護で要介護5の母親の面倒を見る。より専門的な知識をつけるために介護福祉士と介護食士の資格を取得。

 

取材・文/間野由利子