NHK『あさイチ』のサブキャスターとして活躍する駒村多恵さん。子どもの頃「ちびっ子歌合戦」のグランプリを受賞したことをきっかけに、アイドルとして芸能界の道を進みます。しかし、数年後には転機が訪れたといいます。人生の進路変更を決断した理由とは?(全5回中の1回)

「サックスが吹けるアイドル」で芸能界デビュー

── 現在、フリーアナウンサーとして活躍される以前は、アイドルとして活動をされていらっしゃいました。

 

駒村さん:
子どもの頃、父の勧めで、子どもが歌を競うテレビ番組のオーディションを受けたんです。ただ、私は本来引っ込み思案で、ゆっくり本を読むのが好きなタイプ。人前で歌なんて歌えない…と思ったんですよ。でも、父が「オーディションを受けたら本を5冊買ってやる」と。その言葉につられて参加しました。

 

 ── そのオーディションがデビューのきっかけに?

 

駒村さん:
オーディションに合格してテレビに出演したときに、芸能事務所からスカウトされたんです。でも、小学生とまだ若かったこともあり、15歳の時にまずはアイドルで売り出そうと。

 

小学生の頃にブラスバンド部で吹いていたサックスと歌を組み合わせて「サックスを吹けるアイドル」として売り出すことになりました。

 

父の勧めもあって、アイドルになったと語ります

同級生にも「アイドル向いてないよね」

── アイドル時代は、日本歌謡大賞ほか9つの新人賞を受賞するなど、華々しい活躍をされていました。にもかかわらず、3年ほどでアイドルをやめたのはなぜでしょうか?

 

駒村さん:
ひとつは、自分は、アイドルには向いてない。ここに私の居場所はないって思ったことです。当時「アイドル」と呼ばれる女の子たちは、「国民的美少女コンテストグランプリ」など、冠をいっぱい持っていて、すごくかわいくてキラキラしてました。

 

そんななか、私だけ「スターは君だ!ヤング歌謡大賞」など歌のグランプリ出身で、なんだかみんなと少し雰囲気が違うというか…。正直、ほかのアイドルの子たちと横並びはしんどくて。何人かの同級生からも、遠回しに「アイドルには向いてないよね」と言われていました。

 

── ご自身では、特にどんなところが向いていなかったと思いますか?

 

駒村さん:
いわゆるアイドル・アイドルしていなかったというか…。それに、他の人たちは、「トップアイドルになるんだ!」という前に出る強い気持ちがあって、過酷な競争に勝つためのハングリー精神もあった。セルフプロデュース力なども含め、私にはアイドルの能力がないというか。

 

── そこまでアイドルとして、頑張りたいという気持ちもなかったような?

 

駒村さん:
現場では常に精一杯やっていましたが、振り返ってみたら、そうだったんだと思います。

 

そんなとき、偶然、NHKの番組『おはよう日本』で、「アイドル冬の時代」というドキュメンタリーを見てしまって。「ああ私、冬なんだ」って思いました。

 

時代はバンドブームで、アイドルは求めていない。しかも、まわりも、私自身もアイドルっぽくないと思っている。これを続けていく意味はあるのかなと…。

 

そもそも、レコード会社の方が奈良にスカウトに来てくださったとき、当時、曲を作っていたので、いずれはシンガーソングライターを目指すことも考えましたが、年が若いので、まずはアイドルとしてデビューしようという話でした。

 

ところが、上京してしばらくすると、会社の組織再編で声をかけてくれたスタッフの方々の異動や退社が相次ぎ、1年半後には全員いなくなった上、プロジェクト自体も頓挫してしまったんです。結局、その後、大学に進学し、アメリカに短期海外留学するのを機に事務所を辞めました。

 

アイドルには向いていなかったと語る駒村アナ