練習で絶好調もパラ本番で苦戦「まだ選手をやめられない」

2020年東京パラリンピックにも出場を決めた高田さん。

 

延期期間中に腰の骨にひびが入る故障や、コロナの影響で半年ほど練習場所が閉鎖されて思うように練習ができないこともありました。

 

待ちに待った東京パラリンピック。本番前日、サブトラックでの練習では絶好調でした。

 

絶好調で臨んだ東京パラリンピックの女子走り幅跳びで結果はいかに…

「ポーンと5mくらい飛べたんですよ。“千明ちゃん、いまめちゃくちゃ飛ばなかった?”と、周囲にも驚かれたくらい。

 

それが、本番のトラックのタータン(陸上競技場の地面に使用されている合成ゴムのこと)が、サブトラックとは素材が少し違っていたんです。

 

前日があまりにも調子がよかった分、ちょっとした感覚のズレにも敏感になり、“あれっ、こんなはずじゃないのに”とパニックに。

 

結局、思うように飛べないまま、本番を終えてしまいました。もちろん、どんな状況でも結果を出すべきなのに、それができなかったのが課題ではあるのですが…」

 

結果は5位入賞。前回の8位から順位も上げて記録も大幅に更新し、周囲からは祝福されました。

 

しかし、高田さんは手にするはずだったメダルがすり抜けてしまった気がして、悔しさでいっぱいでした。

 

予定では東京パラリンピックで引退するつもりでいた高田さん。けれど、あと少しのところでメダルが取れなかったのが心残りに。

 

忘れ物を取りにいくつもりで2024年のパリパラリンピックも目指そうと気持ちを切り替えているところです。

 

夫婦でアスリートなので種目は違えど刺激し合うライバルでもある

「次のパラリンピックは再来年に迫っています。“もう時間はないぞ”とちょっとあせっているところです。

 

でも、これまでと同じように目標に向かって頑張るのみ。次こそは念願のメダルを手にしたいです」

 

取材・文/齋田多恵 写真提供/高田千明さん、ほけんの窓口グループ株式会社