イライラしたときこそあえて「ああ、かわいい!」
── 木下さんの動画を見ていると、「もっとこんな風に子育てを楽しめばよかった」と思います。
木下さん:
よくそう言っていただくんですけど、楽しそうに子育てしているように見えたとしたら、それも僕の投稿のキラキラな部分なんですよね。
動画なんて撮っている余裕がないくらいイライラしているときもあるし、散らかってるといっても、本当にぐちゃぐちゃなところは見せていないですから。
居酒屋で出てきたから揚げの表面だけを見て「うまそう!」と思っても、食べてみたらもも肉ではなく胸肉でパサパサでガッカリする。それと同じです!
── わかるようなわからないような…(笑)。
木下さん:
胸肉はヘルシー志向な人には人気があるかもしれないですけど、僕はもも肉が好きなんです(笑)!
── 子育てを楽しむ秘訣はありますか。
木下さん:
子育てハックとしてよく紹介するのが、つらいときやイラっとしたときこそメモを取ることです。
書くことでいったん冷静になれますし、何年か後に読み返すと、「こんなことがあったな、懐かしいな」といいエピソードとして思い出せます。
もうひとつ、最近使えると思っているのが、イライラしたときに「ああ、もう…」と言いそうになりますが、そういうときこそあえて「ああ、もう…かわいいっ!」と声に出すこと。
強引に自分の感情をポジティブな方向へ持っていけるし、悲惨な状況で「かわいいっ!」と無理やり言ってる自分に笑えてきます。
でも、これは絶対に言っておきたいんですけど、「メモを取る」も「ああ、かわいいっ!」も、わかっていてもできないのが子育てなんですよね。
僕もわかっていてもできないから苦しんでいて、苦しいから苦し紛れに「いなして」いるだけなんです。
SNSにはマイナス面もあるけれど、孤立化しがちな子育て中に、同じようにがんばっている人たちと繋がれるいい面もあります。
僕のフォロワーさんたちには同じようなステージで子育てに奮闘している人が多いので、そのことをわかってくれているんじゃないかと思います。
動画の投稿がない日が続いたら、「ゆーきさん、いま、子育てが大変なんだな」と思っていただきたいです。本当に大変なときは、動画を撮っている余裕なんてないですから(涙)。
PROFILE 木下ゆーきさん
タレント、子育てインフルエンサー。大道芸人などの活動、会社員を経て独立し、2020年3月に広島県に移住。「RCC『イマナマ!』」にレギュラー出演中。著書に『#ほどほど育児』(飛鳥新社)ほか。
取材・文/林優子 写真提供/木下ゆーき