子どもとのやりとりは100%アドリブ

── 撮影されているのは?楽しそうな笑い声が聞こえてきますよね。

 

木下さん:
撮影しているのは今の妻です。

 

子育てあるあるを映像化した「子育てモノマネ」シリーズなど、台本を書いて撮影しているものもあるんですが、子どもとのやりとりは100%アドリブです。

 

おむつ替え動画も「こういうのやるから撮って」と頼んだわけではなくて、普段の様子を妻がいつの間にか撮影してくれていて、それをそのまま投稿したのが始まりでした。

 

妻と晩酌中という設定で始まる「婚活パーティーごっこ」も、即興で始めたシリーズです。

 

「奥さんの笑い声につられます」とか「笑い声のファンです」とかコメントをくださる方も多くて、妻の笑い声をなんとかNFT(主にイーサリアムのブロックチェーン上で構築できる代替不可能なトークンのこと)とかで販売できないか考えてます(笑)。

 

素の姿であるスウェット姿も眩しい動画「婚活パーティーごっこ」の1シーン
素の姿であるスウェット姿も眩しい動画「婚活パーティーごっこ」の1シーン

── 出産の入院中に出会う助産師さんを演じた「ベテラン助産師さん」のモノマネは名作ですよね。

 

木下さん:
フォロワーさんからも「あのときの助産師さんですか?」「私もこの人に会ったことがある!」とコメントをいただきます。あまりにもリアルだからか「この人(=木下さん)経産婦なの?」とか(笑)。

 

長男が産まれたとき、あまりにも泣きやまなくてナースコールを押させてもらったら、来てくれた助産師さんがあんな感じで「縦抱きだね」と教えてくれて。「縦抱き」という言葉を聞いたのが初めてで、印象に残っていたんです。

 

その後、長女が産まれたとき、妻が入院中にやっぱり助産師さんに「縦抱きだね」と言われたと聞いて、「縦抱き」ってあるあるなんだ!と。

 

「ベテラン助産師さん」は、僕の実体験と、妻のシチュエーションをドッキングさせて生まれたキャラクターです。

 

── 動画からは、普段から楽しく子育てされている様子が伝わってきます。

 

木下さん:
「楽しく愉快に子育てしよう」と意識してやっているわけじゃないです。真正面から子どもとぶつかっていたらしんどいので、笑いにしないとやってられない。いい意味で適当に、流れに身をまかせている感じです。

 

といっても、僕も第1子のときは余裕がなくていっぱいいっぱいで、今ほど楽しめていなかったですね。夜泣きも、離乳食を食べてくれないのも、いつか終わるのかさえわからない。真っ暗なトンネルのなかにいる感覚で、ひたすら歩き続けなきゃいけない苦しさがありました。

 

小学4年生になった今では手がかからなくなって、むしろ寂しいくらいなんですけどね。

 

しんどいとき、僕の投稿を見て笑ってくれる人がいるのはうれしいですね。僕の投稿に「助けられる」というコメントに、僕自身も助けられています。

 

あ、なんだかこれじゃいいコメントで締めくくるみたいでいやだな(笑)。

 

PROFILE 木下ゆーきさん

タレント、子育てインフルエンサー。大道芸人などの活動、会社員を経て独立し、2020年3月に広島県に移住。「RCC『イマナマ!』」にレギュラー出演中。著書に『#ほどほど育児』(飛鳥新社)ほか。

取材・文/林優子 写真提供/木下ゆーき