憎しみも愛しさも…夫の時計は止まったまま
とにかく娘をかわいがっていて、次の娘の誕生日には保護犬をみんなで見に行く予定だったのに。
考えれば考えるほど、ヨウヘイさんは自分が妻を追いつめたのではないかと苦しくなっていくと言います。
「どうしたらいいのかわからないんです。気持ちをどう整理したらいいのか…。妻を憎む気持ちがわいてきたかと思うと、愛しさで心が壊れそうになる。
僕たち、6年つきあって結婚したんです。結婚生活は5年だったからつきあいは11年になる。それなのに僕は彼女のことが何もわかっていなかったのかもしれません」
彼は妻のスマホをつねに持ち歩いています。夫の携帯番号は忘れても、自分の番号は忘れないはず。いつか連絡があるのではないかと。
「娘に寂しい思いをさせているのも心苦しい。自らの意志でいなくなったのかどうかわからないけど、どうしてこんなことになったのか…」
ヨウヘイさんの人生の時計は、あの日で止まったまま。でも娘は去年より7センチも身長が伸びたそうです。
文/亀山早苗 イラスト/前山三都里