イラストはイメージです

警察庁の発表によれば、2021年の国内での失踪者数は7万9218人に。自発的な失踪に加えて、事故や事件にからむケースもあります。すぐに見つかることもあれば、数年後、あるいは見つからない場合も。失踪された側の家族が重い口を開けてくれました。

実家でちょっとした言い争いになって起こした妻の行動

「妻が家を出て行ってもうじき1年がたちます」

 

そう話すのはヨウヘイさん(38歳=仮名、以下同)です。昨秋、ヨウヘイさんは妻のカナコさんと3歳のひとり娘を連れて実家に帰省しました。

 

「遅い夏休みでした。実家は遠方で、60代の元気な母がひとりで暮らしています。

 

僕らはカナコの実家近くに住んでいるので、昨年の帰省はカナコから言い出してくれたんです。『たまにはお義母さんの顔を見に行こう』って」

 

遠方とはいえ県庁所在地で、隣近所も密集している住宅地。母は維持費や手間のかかる一軒家を手放し、街なかのマンションに暮らしていました。

 

「あのときは母がすき焼きを用意して待っていてくれたんです。食事直前に近所の人から母に電話がかかってきました。

 

どうやら風邪気味だそうで、『ちょっとだけ見てくる、10分で戻るから』と母は風邪薬を持って出かけていきました。

 

“こんなときに出かけなくてもいいよ”と言う僕と、“お義母さんの好きなようにさせてあげたら”と返す妻とであらそいになって…。娘はグズるし、少し険悪な感じになったんですよ」

 

そんなとき、カナコさんはいつも席をはずします。言い争うのが嫌いだからというのが彼女の言い分でした。

 

「冷蔵庫をちらちら見ていたカナコが、『せっかくサラダを作ったのにドレッシングがないわ。ちょっと買ってくる』と。

 

マヨネーズでもなんでもいいだろと言うと、『すぐそこにコンビニがあったから行ってくる』って。

 

財布を持って出かけていきました。その後、テーブルにスマホが置きっぱなしだったので、スマホ命のように持ち歩くのにおかしいなと思った記憶があります」

3日経っても「帰ってこない」妻に夫は困惑するばかり

その後、母が戻ってきました。手にはドレッシングを持っています。

 

「カナコがそこのコンビニに行ったんだけど見なかった?ドレッシング買うって出かけたんだよと言うと、『見なかったよ』って」

 

ヨウヘイさんはすぐに近所へ探しに行きました。コンビニにも行きましたが、カナコさんはいません。

 

妻子の写ったスマホの待ち受けを見せましたが、「来てないと思いますよ。見かけない顔なら覚えてますから」と、店員に言われたそうです。

 

その後は警察に連絡、近所の人も出てきてくれて探しましたが、行方はわかりませんでした。

 

「警察に捜索願を出しました。仕事があるので3日ほどで実家を引き上げましたが、何が起こったのかわからない。

 

娘の保育園の送り迎えは義母が助けてくれていますが、娘は毎日、ママ、ママと泣いて…」

 

時間がとれると実家近辺を探しました。それでも行方はわかりません。そもそも、ヨウヘイさんには、妻が失踪する心当たりがありませんでした。

 

「大ゲンカしたわけでもなく、少し気まずい雰囲気になっただけ。でもカナコは、そういう雰囲気が苦手なのはたしかで、雰囲気が悪くなるとすぐに別の部屋に行ってしまうタイプ。

 

あのときは私の実家で、逃げ場がなかったから外に出かけたんだと思うけど、それにしてもいなくなる理由が思い浮かびません」