作者・よしながさんも待望の索引
10月21日に発売されたコミックス20巻で、特装版に『きょう何作る? 食材別 登場全メニュー逆引きBOOK』(以下『逆引きBOOK』)が付録になると、予約時点で完売が多発。重版もすぐ品切れとなり、SNSでは「特装版3週間待ち」「入荷したみたいだけど、瞬殺だった」という声が続出しました。
シロさんやケンジを中心にした、相手を思いやる気持ちや日常の温かなストーリーだけでなく、「レシピ本」としても活用する人の多さが、改めて実感される人気ぶり。しかもこの『逆引きBOOK』、作者のよしながさん自身も待ち望んでいたのだとか。
「コミックスも20巻ともなるとまず作者の私が『あれっ!?このみそ汁の具、前にもう作ったっけ!?』状態でして…。作者待望の、食材別逆引き索引、読者の皆様にも少しでもお役に立てば幸いでございます」(よしながさん)
『モーニング』編集部の担当編集者は「以前よりよしなが先生から、索引のお話がありました。代々の編集担当の間でずっと『逆引き』という言葉は出ていて、18~19巻のころ『節目の20巻に特装版付録で』と決定した形です」と話します。
また、『公式ガイド&レシピ きのう何食べた?~シロさんの簡単レシピ~』2冊の監修も務め、実写ドラマや劇場版を担当したフードスタイリストの山﨑慎也さんも、「ドラマや映画の準備期間中、レシピを確認する度に原作を探すものの、うっかり引きずり込まれて読者タイム突入。一冊読み終えた瞬間『いやいやそんなホッコリしている場合じゃなくー!』という無限ループからやっと抜け出せる、便利な字引が完成しました。嬉しいような寂しいような(笑)」とコメント。
作者自身すら、読者と同じように「あのメニューってどこに載ってたっけ?」となるほど多くのレシピが登場するだけに、索引ニーズの高さもうなずけます。
「食材別」ではメイン食材以外も網羅
通常のレシピ本ではメイン食材だけが索引に掲載されるケースが多いなか、この『逆引きBOOK』はメイン以外の食材も網羅されています。
「実際に索引を並べてみて、改良を重ねた部分もありますが、当初は一般的なレシピ本のように、メイン食材だけで索引を作るつもりでした。でも、よしなが先生から『つなぎに使う卵や牛乳などからも、引けるようにしたほうがいい』と言っていただいたんです。
レシピ本を多く読まれている方なので、食材の並べ方などについても、使う人の視点でたくさんのアドバイスをくださいました。使いやすさは、人それぞれ好みがあるかもしれませんが、『何食べ』の索引として、実用性の高いものができたのではないかと思っています」(担当編集)
日々の料理で、「少しだけ残った食材を使いきりたい」というとき、メインじゃない食材も引けるのはかなり便利。索引から食材をチェックし、メニュー名を見ると「この料理なら、ちょうどいい量だったはず…」と、レシピの記憶がよみがえります。
たとえば、アサリの項目に載っている佳代子さんが教えてくれた「アサリミートソーススパゲティ」。用意するアサリは少しでいいし、シロさんは牛乳をたしてケンジの好きな「トマトクリーム味っぽく」仕上げました。
担当編集が語る「『何食べ』の索引として、実用性の高いもの」とは、調べやすさだけでなく、ストーリーの記憶とともに、アレンジの楽しさを広げるポテンシャルにもありそうです。