モデル・タレントとして活躍の幅を広げている森泉さん。今年8月に96歳で亡くなった祖母で世界的ファッションデザイナーの森英恵さんや母親の姿を見て、「子育てをしながら働く女性像を自然に描くことができた」といいます。幼少期のお話から自身の子育てに繋がるエピソードを伺いました(全3回中の3回)。
森泉さんが語る祖母・森英恵さん
── 祖母の英恵さんの言葉で心に残っているものはありますか。
森さん:
昔、ママモリ(森英恵さん)に「大変だった話を聞いたことないけど、みんなに知って欲しくないの?」と聞いたことがあったんです。そうしたら、「綺麗で美しいものを作っているから、嫌なことを口にしたくないの」って。私は、嫌なことは人に話して発散するものだと思っていました。今になってこの言葉の重みや、それを実行する大変さがわかります。
── 世界で活躍し続けた、英恵さんならではの言葉ですね。
森さん:
一緒に住んでいたので、きょうだいで喧嘩をするとママモリの部屋に逃げ込むんです。ママモリはいつもボディ(トルソー)に布を当てたり、デザインをしていたりしました。怒られた記憶は一度もなくて、孫からすると本当にいいおばあちゃんでした。
普段は常に仕事をしていましたが、日曜日になると家族全員のご飯を作ってくれて、一緒に食べていました。私はアメリカに留学してぽっちゃりしていたことがあったんですが、帰国して、ママモリが作る食事でスルスルと痩せました。
振り返ってみてもいい思い出ばかりです。ファッションショーの仕事がパリであったときに一緒に住んでいたことがあって。ママモリが、朝ごはんを用意してくれるのですが、朝から15種類以上のたくさんの品数が並んでいました。
ししゃも、アーモンド、いちご、小さいトースト、と量は全部少しずつなんですが、食べるものにも本当に気をつけていました。
── 祖母の英恵さんも、お母さんも、働きながら子育てをしてきました。
森さん:
小さい頃から2人の姿を見ていたので、女性が働くのが自然なことだと思っていました。その影響はすごく大きいと思います。特に寂しい思いをした記憶もないですし、今より大変な時代だったと思うんですが、2人から愚痴という愚痴を聞いたことがありません。
ママは国際結婚をして日本に来て、子どもも5人いて、大変じゃないはずがないのですが、何か嫌なことがあってもまったく根に持ちません。2人に教えられたことがたくさんあって、自分が母親になった今、ハッとさせられることが多いです。