思いもよらなかった上司の言葉に木村さんは…

「私の仕事は培養肉などの研究開発職です。職場に行かないと仕事にならないので、リモートワークに切り替えて妻を支える選択肢は現実的ではありませんでした。

 

育休は出産予定日からしか取得できません。そのため、もし病気の妻が里帰り出産をするなら私が介護休業の申請をするか、退職するしかないのか…と」

 

そんな悩みを抱えている木村さんをみて、上司から提案がありました。

 

「研究チームのマネジメントや実験補助スタッフへの指示など、リモートワークでも働けるような業務への転換でした。

 

『木村さんは重要な職場の戦力。現場になるべく早く復帰してほしいけれど、家庭という基盤がなければ仕事はできない。いまは、家族ファーストで考えてください』と、おっしゃっていただいたんです」

 

第1子にミルクをあげる保活パパの木村さん

その提案を受け入れて、木村さんは妊娠6か月の妻を車椅子にのせて新幹線で青森へ。

 

妻の実家で4か月間フルリモートワークに切り替えて業務を継続。出産予定日の10日前から有給休暇を、出産予定日からは育休を取得し、里帰り出産を実現しました。

 

「妻は、母親のそばで無事に出産することができました。私たち家族の希望に沿ってくれた上司(会社)にとても感謝しています。復帰したら、仕事で恩返しをしたいと思いました」