── うまくいくようになるまでには、利用者さんから「失礼だ」など怒られたりしたこともあったんでしょうか?

 

西川さん:
ありますね。

 

松本さん:
西川くんが1回怒鳴られたことがありまして。これまた芸人の手法で、お笑いライブで、聞いてなかったり、ヤジを飛ばしてくる人とかいるんですよね。

 

西川さん:
酔っ払いとかね。

 

松本さん:
そういう人を、僕らはほっとくんじゃなくて、その人をいじって巻き込むんですよ。「ありがとう!でももうやめて~!」みたいな感じでうまいこといじって、こっちに向かせる。ほんなら向こうも、満足して見てくれる。

 

レクリエーション介護に取り組み始めたころは、僕らも経験不足で、全員に参加してもらおうと思ってたんですよ。本当は、参加したい人だけ参加する、でいいんですけど。

 

で、西川くんがいつもの劇場の手法やと思って、ある聞いてなかったおじいさんのところへ言って「すいません~」って、しゃべりかけたんですよね。

 

ほな、おじいさんが、めっちゃ大きな声で「誰に口きいとんじゃボケ!!」みたいに、ものすごい怒鳴ったんですよ。

 

西川さん:
怒鳴られたな。この距離(顔のすぐそば)で。

 

松本さん:
ほんで西川くん、驚いて、コケてな。

 

西川さん:
腰、抜かしてな。

 

松本さん:
腰ってホンマに抜けんねや、と思って。コンビでは、西川くんが注意されたら、絶対お客さんの味方をせなダメなので「西川くん~、今のしゃべりかけ方は失礼やったで」とか言いながら。

 

西川さん:
僕は普通に話しかけたんですよ。でも松本くんがそれ言ったら、笑いが起こるんですよね。

 

松本さん:
「ごめんなさいね、西川くん、ほんま常識ないので~」とか言いながら、「好きなタイミングで入ってみてくださいね」って。

 

でも、そのときはわからなかったんですけど、よくよく勉強をしたら「視野狭窄」といって、年齢が上がると視界が狭くなることがあるんですよね。

 

西川くん的には普通に話しかけたつもりだったんですけど、その方からしたら、横からいきなり「わっ」と脅かされたのと同じだったのかもしれない、と。

 

西川さん:
たぶん、そうやったんよね。

 

松本さん:
目の前から行けば良いんですけど、西川くんは立ち位置的に、斜めから行ったんですよね。だから、いきなり話しかけられて、びっくりされた。

 

それ以降は、目の前に立ってしゃべりかけています。こういうのをやりながら学んだ感じでした。

 

PROFILE レギュラー

松本康太さん、西川晃啓さんによるお笑いコンビ。1998年コンビ結成し、リズムネタ「あるある探検隊」でブレイク。2010年テレビ番組の企画で1年間宮古島に滞在し、民宿を運営。その後、介護職員初任者研修(旧ヘルパー二級)、レクリエーション介護士の資格を取得。介護をわかりやすく伝える書籍『レギュラーの介護のこと知ってはりますか?』も出版

 

取材・文/市岡ひかり 撮影/植田真紗美