フジテレビのアナウンサーとして活躍し、その後フリーに転身した中野美奈子さん。結婚後、夫の海外転勤を機にシンガポールで生活を送りました。海外生活では当初、「何もなくなってしまったように感じていた」と話す中野さんに、当時の思いについてお話を伺いました。
海外生活が自分を見つめ直す転機に
── フジテレビを退職し、夫の転勤で、2012年から6年間、シンガポールで生活をされました。日本を離れてみていかがでしたか。
中野さん:
シンガポールでは、国籍を問わずバイタリティのある方にたくさん出会いました。自分の好きなことを極めて、仕事にしている方がたくさんいらっしゃって。私はアナウンサーとして東京で働いてきたけれど、その肩書きがなくなったら、「私ってひとりでは何もできないんだ」って、まるで透明人間のように、何もなくなってしまったように感じてしまいました。
目の前にカメラがあって、マイクがあって、番組を放送してくださるスタッフさんがいるから私が存在していたんだと改めて思って。当時、子どももいなかったですし、仕事からもいったん離れてしまったので「私はいったい何が好きで、何ができるんだろう」とずっと考えていました。
ちょうどそのときに、フジテレビで担当していた「めざましテレビ」でシンガポールを紹介する企画のオファーを受けたんです。
日本からスタッフさんが来て1か月に何回かロケをしていたんですけど、何かを伝えるということがすごく楽しくて。改めてやりがいを感じるとともに、せっかくなれたアナウンサーという仕事を続けていきたいと、よりいっそう思いました。