性教育ボードゲームを作った理由

── 最近は性教育ボードゲーム「ジニー」を開発したそうですね。助産師ビジネスとはまた違う方向性に思えますが、どのような背景があったのでしょうか?

 

岸畑さん:
性教育というのは、妊娠や出産に関わる私たちのすべての事業の根本だと捉えています。性的同意や望まない妊娠の問題が顕在化している社会背景に関わらず、サービスを展開するなかで、「こんなにも働く女性や男性のヘルスケアに対するリテラシーは乏しいのか…」と痛感したんです。

 

例えば、排卵出血を知らずに「生理が月に2回も来るのですが…」という相談を受けたり、緊急ピルの存在を知らなかったり、日本の性教育はまったくたりていないのだと思い知りました。自分の身体のことをもっと若いうちに知っておくべきだと思い、性的同意の比喩などを盛り込んだ体験型のボードゲームを作ろうと思いました。

 

ゲームの設定やイベントを通じて性教育の知識を疑似体験できるボードゲーム「ジニー」

── With Midwifeとしての未来像を教えてください。

 

岸畑さん:
会社の柱として、助産師のコミュニティでの活躍が社会課題の解決につながるという理念のもと、いろいろな場所で助産師と社会の接点を作っていきたいです。例えば、授乳室のコンサルティングをして助産師を派遣したり、ホテルと連携して助産師を訪問させる産後ケア事業を始めたり、いろいろな可能性があると思います。

 

PROFILE 岸畑 聖月さん

1991年生まれ、香川県出身、株式会社「With Midwife」代表取締役。香川大学医学部在学中に、結婚式2次会幹事代行会社を起業。京都大学大学院修了後、大阪市内の総合病院で助産師として働く傍ら、2019年にWith Midwifeを創業した。内閣府少子化社会対策大綱における検討会の有識者などを務める。

 

取材・文・撮影/荘司結有 写真提供/株式会社With Midwife