来春の黒田総裁の任期満了後に起こること
このように円安の背景を理解すれば、外貨預金に資金を移す場合に注意しなくてはいけないことは、前述のデメリット以外にもあることがわかるかと思います。
現在、米国はハイペースに金利を引き上げていますが、なかなかインフレを抑制できていません。
その間にも利上げの副作用で景気が減速しています。
今後起こりうるシナリオのひとつとして、FRBがこれ以上は景気を犠牲に利上げはできないと判断して、インフレ抑制の目標を少し引き下げて、金融引き締めをやめることが挙げられます。
一方で、日本では円安による物価上昇を抑えるべきだという世論が大きくなっていく中で、来春には金融緩和を粘り強く続けてきた黒田総裁の任期が満了となり、次期総裁が誕生します。
新たな日銀総裁がこれまでの黒田路線を脱し、金融緩和から引き締めに転換する場合、日米の金融政策の態度の違いが現在と反対方向になるため、その場合は円高方向にドル円相場が動くことになります。
こうなると外貨預金では為替差損が発生する確率が高まります。
「流行っているから」「みんながやっているから」と、安直な判断はせずに、しっかりと現在の経済環境や金融商品のメリットとデメリットを理解してから行動しましょう。
文/経済アナリスト 森永康平 イラスト/宇和島太郎
参考/ソニー銀行株式会社「外貨預金の利用動向に関するお知らせ」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000512.000000157.html