“アフリカ布に魅せられて”生きる道がみつかった
そんなときに目についたのが、アフリカ布を身にまとう現地の女性たちでした。
「カラフルで個性的なデザインで、なかにはギョッとするようなものもある。でも、他人がどう思おうと、自分がいいと思った服を堂々と着る彼女たちを見て、ふと思ったんです。
『私もアフリカ布を身につけたら自信が持てるのかな』って」
そこで、上下のセットアップを1着オーダーすることに。アフリカでは市場や路上にミシンを出して仕事をするテイラーがたくさんいて、オーダーメイドで服をつくる文化があるのです。
ふだんはモノトーンで無難な服ばかりで、派手な柄を着るのは未知の世界。
でも、着てみたら驚くほど背筋がシャキッとして、表情が明るくなったのが自分でもわかったといいます。
「そのとき、気づいたんです。周りに何を思われたっていいんだ。アフリカ布を選ぶように、人生も“自分がいいと思ったものを選べばいい”んだって。
そして、アフリカ布こそが、自分に自信を与えてくれるアイテムだと確信しました」
アフリカ布のパワーをもっと多くの人に届けたいと考えた河野さんは、2018年12月、アフリカ布を使った洋服や小物のブランド「RAHA KENYA」を立ち上げました。
ブランドのコンセプトは「一歩踏み出すきっかけの」。
「今の自分に満足できない、何か行動したいけれど、周りの目が気になって自分を出せない、という人たちが、自信や個性を持てるきっかけをつかんでほしいという思いをこめています」
これまでにケニアから日本のお客さんへ販売した洋服や小物は8000点以上にもおよびます。
「たくさんのお客さんから、『元気になった』『新しいことに挑戦しようと思えた』などのうれしい声をいただくようになりました」
ブランドを立ち上げて4年。転職を繰り返し、何をしても長続きせず、新しい自分の場を探し続けていた焦りや劣等感は、もう消えていました。
「飽き性だった私が会社を続けていられるのは、つねに自分らしい一歩を踏み出し続けていられるからだと思います。
昔の私は与えられた環境のなかで、うまくこなすことがゴールだと思っていました。
会社をやっていると、課題ややってみたいことが出てきます。それを実現するために行動するのは、他の誰でもなく自分自身。現状をこなすだけではいられません。
もちろんいいことばかりではないけれど、それも一歩踏み出したからこそできた経験です。
自分らしく向き合って、壁を乗り越えていく。その一歩一歩の積み重ねが、飽きない人生を作っているんだと思います」
PROFILE 河野理恵さん
1987年生まれ、神奈川県出身。法政大学卒業後、介護職、アルバイト、日本大学通信教育部(教員免許取得)などを経て、不動産会社で採用などを担当。2018年2月、夫の起業先であるケニアに移住。同12月、アフリカ布のアパレルブランド「RAHA KENYA」を立ち上げる。
取材・文/大浦綾子 撮影/新井加代子