ダンスグループからバンドへの葛藤

── ダンスグループから、バンドになったきっかけは?

 

Maiさん:
ZONEは「デビューが決まった」と言われた時点ではダンスグループでした。その後、事務所の人たちと「これからどういう形で活動をやっていくのか」と話し合ったときに、「あなたたちはダンスグループじゃなくてバンドになります」っていきなり言われたんです。

 

── ダンスが好きなのに、バンドをやってと言われて、気持ちの切り替えはできたのでしょうか?

 

Maiさん:
言われたときは驚きましたし、私はダンサーになりたかったので、やっぱり戸惑いましたね。でも好きな楽器を選んで良いって言われて、ベースを選んだんです。家でお兄ちゃんがよく楽器を弾いていたので、教えてもらったりして。そこから楽器もどんどん身近になって、結果的にはすごく好きになりました。

 

── 中学生でデビューされたそうですが、バンド活動で辛かったことはありましたか?

 

Maiさん:
『secret base ~君がくれたもの~』がヒットしてからは、ものすごく忙しかった。友達と遊ぶ時間はないし、学校に行ったら校門の前でマネージャーが車で待機して待っている状態(笑)。学校からスタジオに直行し、缶詰で楽器を練習して、家に帰って寝る…っていう毎日を繰り返していました。

 

── 自由な時間がほとんどない学生時代だったのですね。

 

Maiさん:
同級生が「学校が終わったらカラオケに行く」と話しているのを聞くと、本当に羨ましくて!芸能活動を辞めたい…と思ったことがないと言ったら嘘になりますね。

 

── 当時の芸能活動を振り返って、どう思いますか?

 

Maiさん:
ZONEとしての活動がすごく忙しかったときは、どこを歩いていても周囲の目がこっちを見ているような錯覚に陥ったこともあって。「常に誰かに見られているんだから、ちゃんとしなきゃダメ」って周りからも言われていたので、休みの日も気が抜けませんでした。

 

── 大変な日々だったのですね…。芸能活動を行うことについて、ご両親はどう思っていらしたのでしょうか?

 

Maiさん:
応援してくれていたし、精神的にものすごく支えられていましたね。

 

当時、仕事帰りはいつも親が車で迎えに来てくれていたのですが、車のなかですぐ寝てしまうくらい疲れきっていて。そんなとき親は「かわいそうだけれど、代わってあげられない。見守ることしかできない」って言っていました。

 

でもそうやって見守ってくれてありがたかった。親がいなかったら、メンタルもボロボロだったと思います。

 

PROFILE  Maiさん

1986年生まれ。1998年にZONEに加入。2001年にシングル「GOOD DAYS」でメジャーデビュー。ZONEではベースを担当。代表曲は「secret base〜君がくれたもの〜」など。札幌市在住で、現在はヨガインストラクターとして活動中。


取材・文/池守りぜね 写真提供/Mai