夫婦でもすべてを打ち明ける必要はない
「マイコは結婚していませんが、僕らは何があっても恋愛関係にはならない。下心があったなんて言われると笑うしかありません。
妻は事情を知らないからそう言ったのかもしれませんが、夫をそんなに信用できないのかという気にもなりますよね」
妻には親友の彼女だったという話は結局、しませんでした。「できなかった」と彼は言います。
その話は自分の心の中にとどめておきたい。妻と共有できる話ではない思いが彼にはあるようです。
「それ以降、飲み会があるというと妻は『わかった』とは言うけど、なんとなくぎごちない。疑っているなら疑っていると率直に言えばいいのに」
タダアキさんは、マイコさんだけでなく別の女友だちとふたりで会うことに抵抗はないと言います。妻はおそらく、男友だちとふたりで会う機会をつくらないタイプ。
「そういう価値観が違うのかと今さらながら驚いています。今どき、ふたりきりで会ったって恋愛関係になるとは限らないでしょう」
今後、このことが大きな争いの種にならないことをタダアキさんは密かに祈っていると笑いました。
文/亀山早苗 イラスト/前山三都里
※この連載はライターの亀山早苗さんがこれまで4000件に及ぶ取材を通じて知った、夫婦や家族などの事情やエピソードを元に執筆しています。