夫が子どもを連れてスタジオに

── ただ、退院後も子どもは急に熱を出したり、体調が悪くなってしまうことも珍しくないですよね。共働き夫婦の西山家では、そうしたときは、どうされていましたか?

 

西山さん:仕事が休めそうなほうが病院に連れて行ったり、保育園に迎えに行くようにしました。逆に、「この日は絶対に仕事を休めない」という日があれば、あらかじめ伝えておきます。

 

それでもやっぱり予定通りに行かないことも多々ありました。

 

一度、私が『スパイスTV どーも☆キニナル!』に出演中に、同じくフジテレビ職員でもある夫が子どもを職場に連れてきたことがあったんです。自宅で子どもを見ているときに急に熱を出したらしく、保育園に連れても行けず、でも仕事にも遅れるわけにもいかない。夫も焦ったんでしょうね。番組終了後に、夫と子どもの姿が見えて、そのまま私が子どもを引き取って連れて帰りました。

 

── 育児と仕事の両立は大変ですよね。「もう仕事を辞めよう」とか「くじけそうになった」ということはありますか?

 

西山さん:それでも仕事を辞めようと思ったことはないですね。逆に、これだけ理解のあるスタッフが揃っていて、環境を整えてもらっている。辞めるのではなく仕事を頑張ることで恩返ししていこうと。

 

それに、育休で一度仕事を離れたことで「やっぱり私はこの仕事が好きなんだ」と実感できました。子育てと仕事を両立しているほうが私らしいなって思ったんです。

 

育児と仕事の両立が大変なのは、どんな職業の方でも同じですよね。たとえば、子どもを保育園に送っていくとき。他の保護者の方と遭遇するじゃないですか。そんな瞬間に、「このお母さんたちも一生懸命やっているんだな」って。「自分も頑張らなきゃ」と思っていました。子どもが中学生となった今となっては、いい思い出です。

 

PROFILE 西山喜久恵さん

広島県出身。1992年フジテレビに入社、局次長職チーフアナウンサーとして管理業務も行う。『めざましどようび』『めざましテレビ(「きょうのわんこ」ナレーション担当)』、駅伝中継などで活躍。

取材・文/間野由利子 撮影/坂脇卓也