家庭内労働でまかなわれてきた「一泊およそ4万円」の育児

授乳や食事、オムツ替え、掃除…「名もなき家事や育児」は数えきれない

HOTEL CAFUNEでは①10泊プラン(41万円〜*)、②15泊プラン(60万円〜*)、③20泊プラン(78万円〜*)、④30泊プラン(110万円〜*)の4つのプランのほか、気分転換として利用できるショートステイプラン(2泊〜)や、出産前の体験宿泊プランも展開しています。一泊あたりおよそ4万円。金額だけを見るとハードルが高いように思えるかもしれません。

*全て税抜価格

 

「高いと感じられる方はもちろん一定数いらっしゃると思いますが、その一方でこの金額を払ってでも産後ケアで身体を休め、育児に関する不安を解消したいと思う方々がいるということを、オープンしてからひしひしと感じています。新生児のお世話をするのにはそれだけの労力や時間が必要。まずはそこを求めてくださっている方々にサービスを届けていけたらと考えています。

 

育児に関することは家庭内労働として『0円』でまかなわれてきたのが事実です。それをアウトソーシングするとなると、これだけの金額がかかってしまうということ。産後ケアホテルを通じてそうした育児に関する相場観も伝えつつ、周りの人や多くのサービスを頼っていくことでより自分らしい育児を叶えていくことができればと思っています」(岡田さん)

 

「HOTEL CAFUNE」で提供される食事の一例

価格だけ見ると高いようにも感じられますが、24時間託児にかかる人件費や食事代、ホテル滞在費…などを分解してみていけば、それ相応の金額ではないでしょうか。

 

自治体によっては公的な産後ケア施設があるものの、宿泊の日数が限られていたり、パートナーと一緒に泊まれなかったりと、必ずしもニーズに合っていないのが現状です。また、産後ケア事業を実施していない自治体もあり、産後ケアにアクセスできない人々もいます。

 

HOTEL CAFUNEは近いうちに2号店をオープンする予定で、今後も全国各地に拠点を増やしていく計画です。

 

「全国各地のホテルから産後ケア施設を検討しているとのお声がけを複数いただいています。将来的には全国に1000拠点を展開していきたいと考えています。

 

私たちが産後ケア施設を広げ、文化を醸成していくなかで、自治体による施設設置の動きも活発化していくことを願っています。どこに住んでいてもどんな状況であっても、産後ケアを利用できる社会になっていけばいいなと思います」(岡田さん)

 

取材・文/荘司結有 写真提供/HOTEL CAFUNE