「授乳以外は完全にお預け」みなみさんの過ごし方
都内に住む産婦人科医・みなみさん(30代)は、今年2月に第一子を出産。4月末にHOTEL CAFUNEを利用しました。勤務する病院で産後ケア患者の受け入れをしていたものの、自分自身が使うつもりはなかったといいます。
「産後ケアという言葉自体は知っていましたが、私自身が深く関わることはありませんでした。もちろん勤務中に『産後ケアの患者さんが入院されます』と聞くことはありましたが、授乳指導や沐浴などは助産師さんが対応するので、深く掘り下げることもなく…。
何となく、ご家族のサポートが得られない方やシングルマザーの方が利用するサービス、というイメージを持っていました。周りで利用している人もあまりいなかったので、自分が使う必要性を感じていなかったんです」
ところが、産後の生活は思っていた以上にハードだったそう。みなみさんはこう振り返ります。
「子どもの授乳をして、自分の食べる・寝る・お風呂・トイレだけで精一杯の毎日でした。張り詰めた気持ちになることも多くて、パートナーにもすごく心配されて…。双方の実家が遠方なのもあって、産後1か月を過ぎたらふたりだけで育てていかなきゃいけないという状況が差し迫っていたなかで、大学時代の友人からHOTEL CAFUNEを紹介してもらったんです」
パートナーのあと押しもあり、生後2か月のお子さんとふたりで宿泊することに。5日間の滞在中はお子さんをスタッフに預け、身体のリフレッシュに努めたそうです。
「一日に5、6回授乳するときだけ赤ちゃんを部屋に連れてきてもらい、夜中は1、2回ミルクをあげてもらいました。子どものお世話を気にせずにぐっすり眠れたのは久しぶりでした…。
預けっぱなしにすることにためらいもありましたけど、おかげで先延ばしにしていた内祝いの手配をほぼ終えることができて、他にも産後にやりたいと思っていたことに着手することができました。マッサージを利用したりワークショップにも参加できたりして、想像以上にリフレッシュできました」
なかでも一番印象に残っているサービスは、助産師による授乳相談だったといいます。
「授乳に関して産婦人科医はほぼノータッチなので、私も自己流でやっていこうと思っていました。ただ、滞在前に乳腺炎っぽくなってしまったことが不安で…。母乳外来に行きたいと思っても近くに受診できるところがなく、子どもを連れての遠出は大変なのであきらめていたんです。なので、助産師さんに授乳の相談が毎日できたのはとてもありがたかったです」
産後ケア施設はどうしても家族のサポートを受けられない人が使うもの。そんなイメージも滞在を経て変わっていったそうです。
「もちろん家族のサポートが得られない方には強くおすすめしたいものの、出産をした人はみんな利用してほしいくらい大事な文化だと思います。
私も初めは金額を見ただけで『無理無理』と思いましたし、産後ケアにお金をかける価値観がなかったんです。でも、その後心身ともにハードな育児をしていくなかで、お金があるなら使いたいという心境に変わっていきました。
1泊4万円程度の金額だけを見て高いと思っていたけれど、言い換えればそれくらいの価値があることを身内だけでまかなってきたことがすごいと思うんです。
まずは認知度が上がって、私たちや親世代の価値観が変わっていくことで、産後ケアが当たり前の文化になっていくとよいなと思いました」